Windows 10 on Azure の現状について as of 2017.04
こんにちは、マイクロソフトの前島です。
前回投稿からだいぶ日が空いてしまいましたが、XenDesktop Essentials および XenApp Essentials の提供が先月開始されるなど、これまで "Citrix on Azure" としてお伝えしてきた情報が形になってきています。
早速、XenDesktop Essentials や Citrix Cloud を使って Windows 10 を展開いただくケースも多く出てきていますが、ライセンス体系等の情報が錯綜していますので、ここで整理させていただきます。
■ Windows 10 ライセンスのこれまで
Windows 10 をはじめとする "Windows デスクトップ オペレーティング システム" は、Azure または他のサービス プロバイダー(例: AWS, GCP, BlueMix Infrastructure)で利用することは認められていません。もう少し正確に言うと、"お客様専用の物理ハードウェア" でのみ許諾されており、"マルチテナント型ホスティング環境" での利用権利がありません。
この規約は今日時点(2017年4月11日)でも変わっていません。この後ご紹介する方法を取らずにクラウド上で Windows デスクトップ OS を展開することはライセンス違反となりますので、ご注意ください。詳細は製品条項に記載されていますが、下記 FAQ にもその旨の記載があります。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/licensing-faq/
なお例外として、MSDN サブスクリプション特典において(=MSDN 契約の Azure サブスクリプションで)開発・評価用途に限り Windows 10 を展開することが認められています。現在 Azure 上には ”Windows 10 Enterprise N” という名称のギャラリーイメージが上がっていますが、こちらは本特典用に提供されているものであり、他の Azure サブスクリプションでは展開できないようになっています。
■ Windows 10 ライセンスのこれから(予定)
クラウド上で Windows 10 を動かしたいというご要望に応えるべく、Microsoft では間もなくこのライセンス規約を変更します。具体的には下記の条件で、Windows 10 on Cloud が認められるようになります。
- Windows 10 Enterpries E3/E5 per User または VDA per User のライセンスがあること
(per Device のライセンスはご利用できません。また Windows 7 や Windows 8 も認められません。) - 展開する OSは Windows 10 Enterprise CBB であること
(Professional エディションや LTSB モデルのご利用はできません) - Azure または認定クラウドパートナー環境で稼働させること
(ライセンス改定後であっても、どのクラウドでもOKとなるわけではありません)
3つ目のポイントについて、Azure 以外にどのクラウドで許諾されるかといった情報はまだ出てきていません。なお Office 365 ProPlus でも同じような形態をとっていますが、日本で展開されているクラウドでは Azure および NTTコミュニケーションズ社の Enterprise DaaS のみが実際に許諾を取得している状況です。そのため Windows 10 に関しても、幅広くどのクラウドでも… となる可能性は低いと考えられます。
Office 365 ProPlus のライセンス規約および認定クラウドパートナーのリストは、下記より辿ることができます。
https://www.microsoft.com/en-us/CloudandHosting/licensing_sca.aspx
■ 今日時点での Windows 10 on Azure
上記の通り、近い将来、Windows 10 on Azure を可能とする準備を進めていますが、今日時点ではライセンス改定が完了していない状況です。
今すぐ試してみたい場合は、以下の条件を満たした環境に限って許諾されます。この場合、Azure ギャラリーイメージとして提供されている “[HUB] Windows 10 Enterprise Preview” という Windows 10 イメージをプロビジョニングできるようになります。
- EA または MPSA プログラムを通じて、 Windows 10 Enterprise E3/E5 per User または VDA per Userのライセンスをお持ちであること
- Windows 10 on Azure "Customer Pilot" プログラム(通称 TAP)にお申込みいただくこと
- EA 契約配下での Azure サブスクリプションで展開すること
2点目の Customer Pilot プログラムについては、マイクロソフトの担当営業にご相談ください。
3点目の Azure EA については本来不要な縛りですが、プレビュー段階の暫定的な措置だとお考え下さい。ライセンス改定後は、EA 契約以外の Azure でも Windows 10 仮想マシンや XenDesktop Essentials をご利用いただける予定です。
ライセンスの規約改定やそれに伴う複雑なプロセス変更が絡むこともあって、オフィシャルに情報を告知しきれていない点もありますが、状況ご理解いただいた上でぜひ Windows 10 on Azure をご検討ください。