Azure Virtual Machines ワークロード用の Standard SSD Disks (プレビュー)
執筆者: Sirius Kuttiyan (Principal Program Manager, Azure Storage)
このポストは、2018 年 6 月 4 日に投稿された (Preview) Standard SSD Disks for Azure Virtual machine workloads の翻訳です。
このたび、Azure Standard SSD Managed Disks のプレビューが開始されました。Standard SSD Disks は Microsoft Azure Virtual Machines 用の新しい種類の高耐久性ストレージで、低水準の IOPS の安定したパフォーマンスを必要とするワークロードに最適化された、コスト効率の高いストレージ オプションです。この新しい Azure Standard SSD Disks は、既存の Premium Storage Disks と同様に、ソリッド ステート ドライブ (SSD) にデータを保存します。一方、Standard HDD Disks は、ハード ディスク ドライブ (HDD) にデータを保存します。Standard SSD が追加されたことで、Azure Virtual Machines 用に 3 種類の永続ディスク (Premium SSD Disks、Standard SSD Disks、Standard HDD Disks) が Azure で提供されます。
以下の表は、各 Azure Disks の比較をまとめたものです。
ディスクの種類 | Premium SSD | Standard SSD (New) | Standard HDD |
概要 | I/O 負荷の高いエンタープライズ ワークロード向けのディスクです。安定したパフォーマンス、低レイテンシ、高可用性を実現します。 | 安定したパフォーマンスを必要とする低 IOPS のワークロード向けのディスクです。HDD Disks よりも可用性とレイテンシが向上しています。 | アクセス頻度の低い低コストの大容量ストレージに最適化されています。パフォーマンスは多少変動する場合があります。 |
ワークロード | 高負荷のエンタープライズ ワークロード (SQL Server、Oracle、Dynamics、Exchange Server、MySQL、Cassandra、MongoDB、SAP Business Suite、その他の運用環境のワークロードなど) | Web サーバー、低 IOPS のアプリケーション サーバー、使用頻度の低いエンタープライズ アプリケーション、開発/テスト | バックアップ ストレージ |
最大 IOPS | 7,500 IOPS (プロビジョニング済み) | 最大 500 IOPS | 最大 500 IOPS |
最大スループット | 250 MBPS (プロビジョニング済み) | 最大 60 MBPS | 最大 60 MBPS |
Standard SSD Disks のメリット
Standard SSD Disks は、Standard Disks のパフォーマンスと信頼性の向上を目的として設計されました。この新しい種類のディスクは、Premium SSD Disks と Standard HDD Disks の要素を組み合わせたもので、ディスク上で高 IOPS を必要としないアプリケーション (Web サーバーなど) に最適なコスト効率の高いソリューションです。現在、これらのワークロードの大部分には HDD ベースのディスクを使用することでコストを最適化しています。しかし、一般的に HDD ディスクは SSD ベースのディスクよりもパフォーマンスと信頼性が低下します。基本的には、すべての laaS ワークロードに SSD ベースのディスクを利用し、このテクノロジによって実現されるパフォーマンスと信頼性の向上、全体的にスムーズな操作といったメリットを活用することが望ましいと言えます。これを実現するのが Standard SSD Disks です。この新しい種類のディスクは、最適なコストで特定のワークロード要件を満たすように設計されています。
Virtual Machines
Standard SSD Disks は、すべての Azure Virtual Machine SKU で動作します。A シリーズ VM、N シリーズ VM、D シリーズ VM、他の Azure VM シリーズを使用している場合は、その VM で Standard SSD Disks を使用できます。Standard SSD の導入により、従来は HDD ベースのディスクを使用していた幅広い種類のワークロードを SSD ベースのディスクに移行し、安定したパフォーマンス、高可用性、全体的なエクスペリエンスの向上といった SSD がもたらすメリットを活用できます。
Standard SSD Managed Disks のサイズ
Standard SSD Disks は、Managed Disks の一種として提供されています。Standard SSD では、Unmanaged Disks およびページ BLOB はサポートされません。プレビュー時には、以下のディスク サイズが提供されます。
Standard SSD Disks の種類 | E10 | E15 | E20 | E30 | E40 | E50 |
ディスク サイズ | 128 GiB | 256 GiB | 512 GiB | 1024 GiB (1 TiB) | 2048 GiB (2 TiB) | 4095 GiB (4 TiB) |
Standard SSD Disks では、Managed Disks で実行できるサービス管理操作がすべてサポートされます。たとえば、Managed Disks のスナップショット作成と同じ方法で、Standard SSD Managed Disks から Managed Snapshots を作成できます。すべてのディスク操作の詳細な手順については、Managed Disks のドキュメントをご覧ください。
パフォーマンス
Standard SSD Disks では、大部分の I/O 操作を 10 ミリ秒未満のレイテンシで実行します。また、上記のディスク サイズでは、HDD Disks と同様に最大 500 IOPS、最大 60 MBPS のスループットが提供されます。実際の IOPS とスループットは、トラフィック パターンによって変わる場合があります。Standard SSD Disks では、HDD Disks よりも安定したパフォーマンスと低レイテンシが提供されます。
一方、Premium SSD Disks では、ディスク パフォーマンスのプロビジョニングにより、超低レイテンシ、高 IOPS/スループット、安定性のさらなる向上など、Standard SSD Disks よりも優れたパフォーマンスが提供されます。Premium SSD Disks は、その他すべての運用環境のワークロード向けの推奨ディスクです。
既存の Premium SSD Disks と同様に、Standard SSD Disks でも I/O ユニット サイズは 256 KB になります。転送されるデータが 256 KB 以下の場合は、1 I/O ユニットと見なされます。I/O サイズが 256 KB を超える場合は、256 KB 単位の複数の I/O ユニットとしてカウントされます。たとえば、I/O が 1,100 KB の場合は 5 I/O ユニットとしてカウントされます。
優れた耐久性と可用性
Standard SSD Disks は、各ディスクに対して高可用性と耐久性を一貫して提供している Azure Disks プラットフォーム上に構築されています。Azure Disks は、99.999% の可用性を実現するように設計されています。すべての Managed Disks と同様に、Standard SSD Disks でもローカル冗長ストレージ (LRS) が提供されます。LRS を使用すると、ディスクごとに複数のデータのレプリカがプラットフォームに保持されます。LRS は、IaaS ディスクに対してエンタープライズ クラスの耐久性を一貫して提供し、業界トップ レベルの年間障害発生率 0% を実現しています。
料金
詳細については、新しい Standard SSD Disks の料金をご確認ください。Standard HDD Disks と同様に、請求額はディスク サイズと実際のトランザクション (I/O ユニット) に基づいて決定されます。
使用を開始するには
Standard SSD Disks は、通常の Managed Disks と同じ方法で作成、管理できます。Standard SSD Disks を搭載した VM をデプロイするには、Azure Resource Manager (ARM) テンプレートを使用してください。Standard SSD Disks を作成する ARM テンプレートに必要なパラメーターは以下のとおりです。
- Microsoft.Compute/virtualMachines の apiVersion は、"2018-04-01" (またはそれ以降) に設定します。
- Standard SSD Disks を作成するには、storageAccountType を "StandardSSD_LRS" に指定します。
今後数週間のうちに、Standard SSD Disks でのポータルのサポート、API/PS/CLI ツールの提供、Backup/ASR などのサービスの有効化を行う予定です。すべてのディスク操作の詳細な手順については、Managed Disks のドキュメントをご覧ください。
Standard SSD Disks のプレビューは現在、以下のリージョンでご利用いただけます。
- 北ヨーロッパ
2018 年 6 月中旬までには、以下の追加リージョンでも Standard SSD Disks がサポートされます。
- フランス中部
- 米国東部 2
- 米国中部
- カナダ中部
- 東アジア
- 韓国南部
- オーストラリア東部
追加リージョンは、今後数週間のうちに有効になります。現在 Standard SSD のプレビューがサポートされているリージョンの一覧については、Disks の FAQ ドキュメントをご覧ください。
また、プレビュー機能の使用に関する一般的な情報については、Azure のプレビュー ガイドラインをご確認ください。