Office 365 のアイテム保持ポリシーについて
こんにちは。本日は Office 365 のアイテム保持ポリシーについてご紹介いたします。「アイテム保持ポリシーなんて知ってるし、とっくに使っているよ!」という声も聞こえてきそうですが、Exchange 管理センターのアイテム保持ポリシーと、Office 365 のアイテム保持ポリシーは異なる設定であるということをご存知でしょうか。 冒頭よりややこしくて恐縮ですが、今回焦点を当ててご紹介するのは Exchange 管理センターのアイテム保持ポリシーではなく、Office 365 のアイテム保持ポリシーとなります。
で、何が違うの?
早速ですが機能の違いを表にまとめました。まずは以下をご覧ください。
表1 Exchange Online のアイテム保持ポリシーと Office 365 のアイテム保持ポリシーの比較
全然違いますね。同じ名前ではあるものの、利用方法も動作も全然違います。特に機能的な差異で言えば、Office 365 のアイテム保持ポリシーではこれまでインプレース保持等で設定いただく必要があった「アイテムのホールド (保持) が行える」という特徴があります。
すでに Exchange 管理センターでは警告が表示されていますが、インプレース保持を利用するための新しい検索は 2018 年初頭には行えなくなる予定であるため、ご利用のお客様にはインプレース保持の代わりとしてこの記事でもご紹介している Office 365 のアイテム保持ポリシーをご案内しています。
あくまでイメージとはなりますが、「ある期間が過ぎたアイテムを削除/アーカイブするなど、古いアイテムを自動的に整理したい」という目的で利用するのが Exchange Online のアイテム保持ポリシーであり、「ある期間は絶対にアイテムを保持したい」という目的で利用するのが Office 365 のアイテム保持ポリシーであると認識いただければ、概ねイメージ通りにご利用いただくことが可能かと思います。
設定と動作の例
例えば、Exchange Online に既定で設定されているアイテム保持ポリシーに加え、以下のように 3 年間アイテムを保持する設定を行った状況を想定します。(Office 365 のアイテム保持ポリシーは、既定の設定は空となっています。)
この状況で、アイテムの一生をいくつかのパターンごとに追ってみましょう。
パターン1: 受信後、ユーザーはそのアイテムを何も触らない。
Exchange Online の既定のアイテム保持ポリシーでは、2 年でアーカイブに移動されるタグが付与されています。そのため、対象のアイテムは 2 年後にアーカイブに移動されることになります。 特に何もしない場合はこのアイテムはアーカイブに残り続けることになります。
パターン2: 2年半経過後、ユーザーがそのアイテムを Shift + Del で完全削除する。
パターン 1 と同様に、2 年後に対象のアイテムはアーカイブに移動されます。2 年半後にユーザーがアイテムを Shift + Del で完全削除を行おうとした場合、このアイテムは Office 365 のアイテム保持ポリシーに従ってアーカイブの [回復可能な領域] に移動され、アイテムは保持されます。その後、保持期間である 3 年が経過するとこのアイテムは完全に削除されます。(実際には、完全削除までにはさらに最大 30 日の猶予期間を設定することが可能です。詳細はこちら)
パターン3: 受信直後にユーザーがそのアイテムを Shift + Del で完全削除する。
受信直後にユーザーがアイテムを Shift + Del で完全削除した場合は、アイテムはプライマリ メールボックスの [回復可能な領域] に移動されます。Exchange Online の既定のアイテム保持ポリシーでは、回復可能な領域に存在するアイテムは 14 日でアーカイブに移動される設定となっているため、このアイテムは 14 日後にアーカイブの [回復可能な領域] に移動されます。その後、保持期間である 3 年が経過するまでこのアイテムはアーカイブの回復可能な領域に保持され、保持期間経過後にアイテムが完全に削除される点はパターン 2 と同じです。
最後に
いかがでしたでしょうか。かなりややこしい動作ではありますが、一方で、通常運用いただく上では上記の動作をそこまで詳細に意識いただく必要はあまりない場合も多いのかな、とも考えています。運用上大事となる点は、「確実にアイテムを保持する期間をどの程度にしたいか」「アイテムを保持する対象はどうするか」「保持期間経過後のアイテムの扱いはどうするか」というポリシーを決めていただくことになります。
保持したい、整理したいというご要望に基づいて、Exchange Online のアイテム保持ポリシーと、Office 365 のアイテム保持ポリシーを併用してご利用いただけますと幸いです。
参考情報
Office 365 のアイテム保持ポリシーについて、設定方法や動作の詳細は こちら の公開情報でもご紹介しておりますので、併せてご参照下さい。