Windows Azure仮想マシン上でWindows Server向けに作成されたアプリケーションを動作検証する場合の注意点について(2013年9月版)
Windows Azure「仮想マシン」上のWindows Serverは、Hyper-Vをベースとした仮想化技術上で動作する仮想マシンです。
仮想マシン上で動作しているWindows Serverは、当然のことですが、正式版Windows Serverのマスターイメージを利用されて構築されたものであり、動作しているOSはオンプレミスで動作している物理ハードウェア上のWindows ServerやHyper-Vベース上で動作している仮想マシンで動作しているWindows Serverと違いはありません。
しかし、Windows Serverベースのアプリケーションを動作検証する上で、特に物理ハードウェア上での動作と、Windows Azure上での動作の違いに注意が必要です。
以下は、その注意点例の列挙になります。
- 仮想マシンハードウェアの必要システム要件
仮想マシンの最小構成は、CPUは共有 / メモリ768MB / OSディスク 19GB(Extra Small)です。アプリケーションの必要システムとして、どのくらいのCPU / メモリ / ディスクサイズが必要になるのかを考慮する必要があります。
Windows Azureの仮想マシンのスペック一覧は、以下のサイトに掲載されています。
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/windowsazure/dn197896.aspx
- 未サポートのコンポーネント
Hyper-V、DHCP、NLB、Failover Clustering、Bitlockerといったコンポーネントが利用できません。 - 利用可能なマイクロソフトサーバー製品
利用可能なサーバーソフトウェア・機能については、利用できるものと、利用できないものがあります。設計・運用の検討の際には、下記をご参照ください。
Windows Azure 仮想マシン用のマイクロソフト サーバー ソフトウェアのサポート
https://support.microsoft.com/kb/2721672
- 仮想IP(VIP)利用不可
Windows Azure上の仮想マシンでは、仮想IP (VIP) はご利用できません。冗長構成でVIPを利用したい場合、Windows Azureのロードバランサー設定で対応可能かご確認ください。 - ネットワーク構成
特定のネットワーク構成が必要な場合、Windows Azure仮想ネットワークを利用することになりますが、その際、Windows Azure仮想ネットワークで要件を満たせるかどうか考慮してください。たとえば、現在の仮想ネットワークでは、いわゆるVPNは可能ですが、接続先はシングルポイントになります。マルチポイントのVPN構成はできません。
- 仮想サーバーのHA構成
冗長構成を考慮する場合、Windows Azureでは、ネットワークアダプタは1セットであり、また、共有ディスク構成での冗長化はできません。
一時的なローカル ディスク (D ドライブ) の利用
作成した各仮想マシンには、一時的なローカル ディスクがあります。一時的なローカル ディスクには、D ドライブというラベルが付けられます。このディスクは、仮想マシンで実行されるアプリケーションとプロセスによって、データの一時的なストレージとして使用されます。オペレーティング システムのページ ファイルの格納にも使用されます。
このディスクのデータは永続的に保存されません。再起動やハードウェアクラッシュなどの復旧の際に、ドライブが再作成されることがありますので、アプリケーションのデータを格納するためにこのディスクを使用しないでください。詳細は、下記リンクの「ディスクの管理」をご参考ください。
ディスクおよびイメージの管理
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/jj672979.aspx
- GPUについて
グラフィックアクセラレータは非搭載です
ホストOS (ハイパーバイザー)の定期的な更新
仮想マシンをホストしている仮想マシン用ハイパーバイザーは、機能拡張・修正・修正プログラムの適用などのメンテナンスで再起動が行われます。そのタイミングで仮想マシンも再起動が行われるので、99.95%の可用性を担保するためには、可用性セットを設定の上、2つ以上の仮想マシンを構成ください。
Windows Azure ホスト OS の更新
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/hh543978.aspxOS のアップグレード処理について
https://msdn.microsoft.com/ja-jp/windowsazure/hh705141
尚、上記の考慮を行ったアプリケーションであれば、仮想マシンで動作が保証されたわけではありません。オンプレミス上の古いOSから、新しいOSへアプリケーションを移行する場合には、予期したとおりの動作しない可能性もありますので、その場合は、Windows Azure仮想マシンの特性を考慮して、アプリケーションの変更等実施し、実運用前には十分なテストで検証をしてください。