Virtual Machine に新しく A8/A9 のサイズが登場
このポストは、5 月 14 日に投稿された New A8/A9 Virtual Machine Sizes の翻訳です。
先日、Microsoft Azure Virtual Machines に新たに A8 と A9 の 2 つのサイズが追加されることが発表されました。この 2 サイズでは、プロセッサの高速化、高い演算処理能力を発揮するための仮想コア数の増加、メモリ容量の増大が実施されています。これらのインスタンスでは、40Gbit/s のバックエンドを持つネットワークが新たに導入されています。このネットワークは、並列 MPI アプリケーションを最も効率よく活用するためのリモート ダイレクト メモリ アクセス (RDMA) テクノロジを提供するものです。これらの機能が組み合わさることで、このインスタンスは、工業設計やシミュレーション、ゲノム研究、動画のエンコード処理など、演算処理やネットワークの負荷の高いアプリケーションの実行に最適化されています。詳細については、こちらのページ (英語) を参照してください。今回の記事では、これらの新しい仮想マシンのサイズを利用するうえで皆様に必要な情報をご紹介します。
A8 および A9 を利用可能な地域
これらのサイズは現在、次のリージョンでサポートされています。
- 西ヨーロッパ
- 米国東部
- 米国西部
- 東日本
今後、この他の地域にもサポートが拡大される予定です。A8 および A9 がどのリージョンでサポートされているかは、PowerShell で次のスクリプトを実行することで確認できます。
$subscription = Get-AzureSubscription -current
$uri = $subscription.ServiceEndpoint.AbsoluteUri + $subscription.SubscriptionId + "/locations"
$headers = @{"x-ms-version"="2014-05-01"}
$outfile = $Env:temp + “\rolesizes.xml”
Invoke-RestMethod -Uri $uri -Certificate $subscription.Certificate -Headers $headers -Method GET –OutFile $outfile
$outfile
上記のスクリプトでは、リージョン別に使用可能な、A8 と A9 を含むすべてのロール サイズが返されます。
A8 または A9 の Virtual Machine を作成する
新たに導入された A8 および A9 サイズの Virtual Machine は、先日から Azure PowerShell コマンドレットで作成できるようになっています。PowerShell のインストールと環境の準備については、こちらのページを参照してください。なお、現時点では、Azure 管理ポータルからこれらのサイズの Virtual Machines を作成することはできませんのでご注意ください。次に、新しい AzureQuickVM コマンドを使用して A8 サイズの Virtual Machine を作成する方法を示します。
PS C:\> New-AzureQuickVM -windows –ServiceName mya8vm -name mya8vm -imagename $image -instancesize A8 –AdminUserName $admin –password $pwd -location "West US"
A8 または A9 の Virtual Machine を Azure 管理ポータルから作成することは現段階ではできませんが、Virtual Machine が実行中であることはポータルから確認できます。メモ: 一部のオプションは、現時点ではご利用いただけません。次のスクリーンショットをご覧ください。
A8 または A9 の Virtual Machine をリージョン仮想ネットワーク (Regional Virtual Network) に追加する
A8 または A9 の Virtual Machine を使用する場合は、リージョン仮想ネットワークにデプロイすることを推奨します。今回新たに導入されたこの Virtual Network は、従来の Virtual Network よりも規模が拡大されています。これまで Virtual Network は、アフィニティ グループにバインドされていました。このうち特定のアフィニティ グループは、リージョン内の一部の VM サイズをサポートしていません。しかし、リージョン仮想ネットワークにデプロイすることで、当該リージョンで利用可能なあらゆるサイズの VM を Virtual Network にデプロイできるようになります。
Virtual Network がリージョン仮想ネットワークであるかどうかは、Azure 管理ポータルで [LOCATION] の下にリージョンが表示されているかどうかで確認できます。
他にも、PowerShell で “Get-AzureVNetConfig” コマンドレットを使用した場合に、Location 属性が表示されているかどうかでも確認できます。
PowerShell でリージョン仮想ネットワークを作成する場合は、次の手順を実行します。
1. 最新のネットワークの構成ファイルをリポジトリからダウンロードします。
$outfile = $Env:temp + "VNetConfig.xml"
Get-AzureVNetConfig -ExportToFile $outfile
2. 次に示すように、VirtualNetworkSite ノードの Affinity Group 属性を削除して、代わりに Location 属性を挿入するようにエクスポート ファイルを編集します。
Location 属性では、有効な Azure リージョンの任意の値 (‘East US’、‘West US’ など) を使用できます。
3. 次のコマンドを実行して、リージョン仮想ネットワークを作成します。
Set-AzureVNetConfig -ConfigurationPath $outfile
4. これで、リージョン仮想ネットワークが作成されました。
リージョン仮想ネットワークの詳細については、こちらの記事を参照してください。リージョン仮想ネットワークのセットアップが完了したら、次のように、A8 または A9 の Virtual Machine をデプロイできます。
PS C:\> New-AzureVMConfig -Name "mya8vm" -InstanceSize A8 -ImageName $myimage | Add-AzureProvisioningConfig -Windows –AdminUserName $admin -Password $pwd | New-AzureVM -ServiceName "mya8vm" –VNetName "kenaz-regionalvnet"
現時点でサポートされていないシナリオ
最後に、現時点でサポートされていないシナリオについてご説明します。
他のサイズの VM を A8 または A9 に変更する
既存の VM のサイズを新しい A8 や A9 のサイズに変更することはできません。A8 および A9 のサイズは、新規の Virtual Machines としてのみデプロイできます。ただし、OS ディスクとデータ ディスクを保持したまま既存の Virtual Machine を削除して、新たにデプロイした A8 または A9 の VM でこのディスクを使用することは可能です。
A8 または A9 のサイズの VM を既存の Virtual Network やアフィニティ グループに追加する
現時点では、既存の Virtual Network や空ではない Virtual Network、あるいはアフィニティ グループを所有している場合でも、そこに A8 または A9 の Virtual Machine をデプロイすることはできません。
Linux Virtual Network での RDMA のサポート
RDMA は、現時点では Windows の Virtual Machines および Cloud Services でのみサポートされています。Linux の Virtual Machines でのサポートは、現在開発を進めているところです。