リージョン仮想ネットワーク (Regional Virtual Network)
このポストは、5 月 14 日に投稿された Regional Virtual Networks の翻訳です。
概要
このたび、リージョン全体をカバーする Virtual Network を作成することが可能になりました。これにより、新しく Virtual Network を作成する際、アフィニティ グループではなくリージョンを指定することができます。また、このリージョン仮想ネットワークにデプロイされた新しいサービスは、そのリージョンで提供されているすべてのサービス (A8/A9 のサイズ、内部負荷分散、予約済み IP、インスタンス レベルのパブリック IP など) を利用することが可能です。
今回の発表以前は、VNET はスケール ユニット、正確にはアフィニティ グループにバインドされていました。アフィニティ グループとは、データセンターの 1 セクション、すなわち一定数のサーバーを指すグループ概念です。VNET はアフィニティ グループにバインドされていたため、間接的に一定数のサーバーにバインドされており、このスケール ユニット外のサーバーにデプロイメントを配置することができませんでした。
以前
今回使用可能になったリージョン仮想ネットワークでは、スコープがアフィニティ グループではなくリージョン全体となるため、こうした制約から解放されます。
今後
主なシナリオ
リージョン仮想ネットワークで可能になる主なシナリオを以下に示します。
- Virtual Machines の新しいサイズである A8 や A9 を、他のサイズも格納可能な Virtual Network にデプロイできます。
- 予約済み IP、内部負荷分散、インスタンス レベルのパブリック IP などの新機能を利用できます。
- Virtual Network はシームレスにスケーリングしてリージョン全体のキャパシティを使用できますが、Virtual Network 内の Virtual Machines の最大数は 2048 に制限されます。
- Virtual Network を作成するにあたってアフィニティ グループを作成する必要はありません。
- VNET へのデプロイメントは、同じアフィニティ グループである必要はありません。
使用方法
リージョン仮想ネットワークの作成方法はアフィニティ グループの場合と似ていますが、1 つ異なる点として、VNET をネットワーク構成ファイルで定義する際に ‘Affinity group’ 属性の代わりに ‘location’ 属性を使用します。
Virtual Network の定義 (以前)
<VirtualNetworkSitename=“VNetDemo“AffinityGroup = “ VNetDemoAG “ >
Virtual Network の定義 (今後)
<VirtualNetworkSitename=“VNetUSWest“Location = “ West US “ >
ポータルを使用した作成方法
現時点では、リージョン仮想ネットワークをポータルで作成することはできませんが、近い将来、作成できるようになる見込みです。ただし、インポート/エクスポート機能を使用してリージョン仮想ネットワークを作成することはできます (下の図を参照)。
1. 最新のネットワーク構成ファイルをエクスポートします。
2. ファイルをローカル ディスクに保存します。
3. ファイルを編集して新しい Virtual Network を追加します (下を参照)。
<?xmlversion=“1.0“encoding=“utf-8“?>
<NetworkConfigurationxmlns:xsd=“https://www.w3.org/2001/XMLSchema“xmlns:xsi=“https://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance“xmlns=“https://schemas.microsoft.com/ServiceHosting/2011/07/NetworkConfiguration“>
<VirtualNetworkConfiguration>
<VirtualNetworkSites>
<!– リージョン仮想ネットワークの定義 –>
<VirtualNetworkSitename=“VNetUSWest“Location=“West US“>
<AddressSpace>
<AddressPrefix>192.168.50.0/24</AddressPrefix>
<AddressPrefix>192.168.51.0/24</AddressPrefix>
</AddressSpace>
<Subnets>
<Subnetname=“frontendsubnet“>
<AddressPrefix>192.168.50.0/24</AddressPrefix>
</Subnet>
<Subnetname=“backendsubnet“>
<AddressPrefix>192.168.51.0/28</AddressPrefix>
</Subnet>
<Subnetname=“gatewaysubnet“>
<AddressPrefix>192.168.51.16/28</AddressPrefix>
</Subnet>
</Subnets>
</VirtualNetworkSite>
</VirtualNetworkSites>
</VirtualNetworkConfiguration>
</NetworkConfiguration>
4. 新しい Virtual Network の作成ワークフローを実行します (下を参照)。
5. ローカル ディスクから、編集したネットワーク構成ファイルを選択します。
6. [OK] をクリックしてインポート処理を終了します。
これで、新しいリージョン仮想ネットワークが作成されます。
Powershell を使用した作成方法
最新の Azure Powershell (英語) をダウンロードしてインストールします。
Powershell コマンドレットを使用してリージョン仮想ネットワークを作成する方法を以下に示します。
1. Azure から最新のネットワーク構成ファイルをダウンロードします。
Get-AzureVNetConfig -ExportToFile
“C:\Users\narayan\Documents\TechEdDemo\Netcfg.xml”
2. エクスポートしたファイルまたは作成したファイルで、Virtual Network の詳細情報を編集します (「ポータルを使用した作成方法」セクションの手順 3 を参照)。
3. 次のコマンドを実行してリージョン仮想ネットワークを作成します。
Set-AzureVNetConfig -ConfigurationPath
“C:\Users\narayan\Documents\TechEdDemo\Netcfg.xml”
4. これで、リージョン仮想ネットワークが作成されます。
よくある質問 (FAQ)
リージョン仮想ネットワークをサポートしているリージョンを教えてください。
Azure では、こちらに掲載されているすべてのリージョン* でリージョン仮想ネットワークがサポートされます (ただしブラジル南部リージョン (プレビュー) は除く)。
* 現時点では、中国東部および中国北部のリージョンでは利用できませんが、近い将来に利用可能になる予定です。
既存の Virtual Network をリージョン仮想ネットワークに変換するにはどうすればよいですか。
現時点では、そのような方法はサポートされていません。今回説明した方法でリージョン仮想ネットワークを新規作成していただく必要があります。なお、アフィニティ グループにバインドされている既存の VNET は、近い将来、スコープがリージョン レベルに移行される予定です。今後の最新情報をお待ちください。
既存の Virtual Network を新しいリージョン仮想ネットワークに接続できますか。
はい。新しい VNET-VNET 間接続機能を使用して、既存の Virtual Network と新規作成されたリージョン仮想ネットワークを接続できます。詳細については、こちら (英語) を参照してください。
リージョン仮想ネットワーク内でサービスを実行する場合、パフォーマンスが低下しますか。
Virtual Network は論理的境界に過ぎず、VNET 内のデプロイメントの実際の配置場所は決定されません。何らかの理由でサービスを同じアフィニティ グループにまとめる必要がある場合は、リージョン仮想ネットワーク内でそうすることが可能です。デプロイメント時に、ホストされるサービスがバインドされるアフィニティ グループを指定する必要があります。ただし、アフィニティ グループはリージョン仮想ネットワークと同じリージョンに配置する必要があります。
ホステッド サービスをアフィニティ グループにバインドせず、サービスをリージョン仮想ネットワークに直接デプロイした場合は、Virtual Network がバインドされているリージョン内のスケール ユニットにデプロイメントが配置されます。
新たに発表された機能 (予約済み IP、内部負荷分散、インスタンス レベルのパブリック IP) とリージョン仮想ネットワークの関係を教えてください。
質問にある新たに発表された機能はすべてリージョン レベルで管理されるため、リージョン仮想ネットワークへのデプロイメントでのみ利用できます。
リージョン仮想ネットワークを使用する場合、料金は発生しますか。
いいえ。リージョン仮想ネットワークはプラットフォームの機能強化であり、料金は発生しません。