ソフト開発未来会議[オフライン]、開催終了&メモを公開!
昨日、ソフト開発未来会議[オフライン]を実施させていただきました。
未来「会議」、のタイトルのように、参加者の皆様と、これからの日本のソフト開発について議論をしたい。関係者のそういう思いで開催を行わせていただいた今回のオフラインイベントでは、参加いただいた方にも積極的に関わっていただきながら、様々な方向での議論を行わせていただきました。
残念ながら会場の関係もあり9時半に終了となりましたが、予定より30分超過したその時点でも、議論は終わる様子もなく、参加者の皆様にも最後まで参加いただくことができました。
お忙しいところ、お時間を割いて参加いただいた皆様に御礼申し上げます。
また、今回のオフラインイベントを企画、実施いただいた主催のピーク・ワン様ならびに関係者の皆様、ありがとうございました。
最後にパネルに参加いただきました東証コンピュータシステム松倉様、イースト下川様、アプレッソ小野様、アークウェイ森屋様、新野様、デジタルアドバンテージ小川様にもあらためて御礼申し上げます。
文字では今回のイベントの熱気をお伝えすることは決してできないと思いますが、イベントの記録として、その場で取っていたメモを公開させていただきます。
Enjoy Coding!
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金融危機による不況の影響や状況の変化を感じることはありますか?
エンドユーザーに価値を認めてもらっているものについては、あまり影響はない。
ソフトウエア開発ビジネスにおいて、SIは禁断の果実と思っていた(笑)。そのため影響は限定的。
求人が増えたà下請け/孫受け構造の変化が起こりつつあるかも。自分価値の見直し。泥の船への気づき。
仕事の売り込み(人を使ってください)が増えた。
普段営業していない部長クラスも営業するようになってきた。
コンサルは予算カットの対象となりやすいので、危機感がある。
自分で道を作っている人にとっては怖くない。他人の道に乗っている人は怖いと思う。
ちなみに、Rubyのまつもとさん。仕事がなく暇だったので10何年前にRubyを作る。
àこういう時間が1つのチャンスになるかもしれない。
クラウドコンピューティングとは?
インターネットの図が雲だったà「クラウド」という名称を使い始める。
Salesforce.com が概念的に初期のクラウドを形作る。
データセンターの切り売り(?)とも考えられる。
クラウドコンピューティングは明るいですか?
データセンターの業務(データバックアップとか)はクラウドに任せて得意領域に注力することができる。
証券分野ではアナリストレポートがビジネスで多用されるが、そこではグラフが多用されている。たとえばこのようなデータはクラウドにあったほうが良いのでは?
(紙と違い容量の制限を気にしないでも良いので)情報の取捨選択をしなくとも、オリコンの順位を、最後まで(1枚の売り上げまで)みせるとか、サービスの幅が広がるのでは。
パブリックなクラウドと、プライベートなクラウド。切り分けて考えたい。
H/W投資を抑制し、初期投資を抑えることが可能なので、スタートアップ企業には最適では?
下川さんへ: Toripoto をクラウド化したのはなぜですか?
Toripoto 最初はLab。JTB様のサイトで展開していた。Windows Azure (クラウド)を使うことで、サーバー負荷をクラウドに転嫁できると考えた。
Toripoto のUI自体は Silverlight。そこからクラウドにつないでいる。調査に9日、実装2日。合計11日で完成できた。
SDS=SQL Data Services。クラウド上の SQL Server。ただし概念的には Relational ではないので注意が必要。
Windows Azure ( アジュール)ご存知ですか?
マイクロソフトのクラウドOS。ベータとして公開中。
3月に米国で開催される Mix (ミックス)でさらに新しい情報が出るかも。
クラウドに対してどのように思われていますか?
Before クラウドとAfterクラウド。状況が変わりつつある。
例えば、SNSの Gree 田中さん。Beforeクラウドだったので、個人でレンタルサーバーで開始。アクセス増加に伴い、専業化する必要が出てきて、退社される。 もし、ビジネス開始時にクラウドがあれば、もっと気軽に開始できたかも。
アイディアがあれば、会社を辞めずに、Small スタートできるのでは?
また成功した場合にプラットフォームビジネスへの拡張を狙いやすいのでは?
ソフトウェアのアイディアは結構、みんなある。リスクがとりにくい。実行できるかどうか。
現在は個人がソフトウェアのビジネスを開始しやすい時代になった。例えば、App Store。
作って、App Store に上げれば、ビジネスを開始できる。コードがかけることが優位性になる。
会社と社員の関係が変わるのでは。
例えば App Store の成功例として、iPhoneのアプリを作った学生。1ヶ月で500万円を売り上げる。
アプリケーションの流通とPayment(対価回収)の環境が整いつつある。
まず、やってみる。
iPhone のAppStoreはバブル化し始めている。
食えるのは2番手、3番手ぐらいまで。 これからは食っていくのは難しいのは?
ß (反論)Payment の確立で変わるのでは?
フラット化。チャンスは広がってきた。
始まった瞬間は、チャンスが大きい。広がったときにどう差別化するか、が重要。
技術の相互運用性の問題。マルチテナントでの問題。 など課題もある。
得るものがあれば、失うものもあるのでは?
クラウドにより、業界がどう変わるか。
クラウドへの対応に関して、先行者利益と、後追いの方の格差が生じるのでは?
ß(反論)例えばITにおける生産性があがっても、その分 仕事が減ったわけではない。
局面局面にチャンスはあるし、早ければ優位というわけでもない。
ITが競争優位を与える、という前提で、しかしながらだれもがITを導入するのであれば 優位にならないのでは。
ß(反論)まだまだ優位性を担保する可能性が沢山ある。
S+S, SaaS によって SIビジネスは変貌するのではないか?
ß (反論)スッテップいくら?の話とおなじ。 状況が変わっても生き残れるところは生き残る。
クラウド適用における適している箇所と、適していない箇所の見極め。 ジャンルを分ける必要。
パッケージの出現で、カスタム開発は減った。
ただ、ユーザー企業が儲かることの出来るシステム、に対する開発ニーズは減ることはない。
さらには、企業ニーズだけでなく、コンシューマ等の他の可能性もある。
出来るエンジニアは難しいところを求め続ける。(トランザクションとか)
他方、平易な開発で、ソフトウェアをリリースする価値もある。(Webとか)
Webの萌芽期のころ、Webをやっていると(トランザクションなどの難しい分野をやっている)同僚から笑われた。しかし、ソフトウェアにとっては、リリースすること、出荷することの喜びがある。それを大事にしたい。
日本のITの開発力は次第に下がっていると危機感を持っているが、自分がソフトウェアを創って儲かるのであれば、開発者のモチベーションは変わる。リリースし、ユーザーの反応を得ることで、開発力も向上する。
会社と、個人の関係。
個人がユーザーと直接対面できる時代。
ß (反論)個人の報酬と、会社の報酬のベースは違わないか?
個人(的):市場による淘汰。いいソフトは使われる。
会社(的):会社(ブランド)に相応した品質保証。
個人だけで対応できる市場と、会社としての対応を求められる分野は異なってくる。
優秀な個人を、いかに会社ひ惹き付けるかが課題となる。
クラウドにより誰でもサービス提供者となりうる時代になる。コーディングに集中できる。
データセンターのスケールメリットによるコストの低減は個人、会社双方にメリットがある。
小野さんへ:パッケージソフトはクラウド化していくのでしょうか?
移行するものはある。 ローカルに持つよりも、リスクを低減できるかも。
とはいえ、いかないものもある。
クラウド化の課題
規制上クラウドか出来ないものもある。 世界共通のセキュリティや監査など統一されたルールが必要になってくる。
近年のH/Wの進歩は早い。反面、ネットワーク帯域の進歩が足踏みしている。クラウドにおいてはネットワーク帯域が課題となる。
クラウドにおけるセキュリティは?
そもそも、(重要なビジネス情報をやり取りする)メールってインターネット経由。インターネットだからセキュリティ云々、は時代遅れでは?
ß(反論)大事なものは手元に置くのでは?つまり、ネットワークに流さないのでは?
ß(反論)情報の価値を考えたとき、共有するほうが価値が高まるのでは?
ß(反論)顧客情報とかは違うのではないか?
Google 等のサービスとローカルPCのどっちが安心?
データのバックアップという面ではGoogle
でも、知らない間に公開されたりしていて怖い面がある。
ß(反論)ユーザーのリテラシの問題では?
発電の集中化の話。かつては発電所は工場それぞれにあった。それが集中化したときの議論と同じでは。「工場のほうが安全」という意見は時代とともに消えつつある。
一方で情報漏えいした際の責任範囲や保障が不明確ではないか?インターネットでは、情報伝達のために複数の経由地がある。責任の切り分けや、確認が難しいのでは。保険で合理的にカバーしようとする米国的なメンタリティの一方で、日本はもう少し厳しいのでは。
10年前のクレジットカード情報をインターネットに流す議論のデジャブ。
できない理由を挙げるのは生産的ではない。
( 再度 ) 不況への対応について
不況は次のトレンドへの準備期間。10年に1回くらい、不況がきます。
まずは手を動かしてみましょう
まとめ。
ビジネスのチャンスが来ている。
まずは創ってみてください。
個人へのシフト。選択肢が増えてきた。
描いた未来が次の世界を作っていく。
怖がらずに前を向いて、可能性を拡げてください。
チャンスはフラットに訪れる。いろんなところにチャンスがある。
ユーザーへの価値提供重要。
Live Mesh も楽しいですよ。
次回は朝までやりましょう。