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[翻訳] : 原子メルトダウンの解説 (日本の原発の状態について、米国にて解説されたインタビュー)

Chernobyl (チョルノーブィリ) や Three Mile Island の災害と、今の日本の原発の災害についての解説がアメリカ CBS News のインタビューでされました。昨日のニュース番組です。

これまでの色んな日本での報道と比べても、分かりやすく、状況把握がしやすいので、翻訳してみました。

あくまで個人が翻訳しているだけで、内容についての信憑性や事実については保障ができませんが、現状を把握しやすい情報と判断し、共有しています。
元は、アメリカ CBS News で行われたインタビューです。

質問: 原子力によるエネルギーとはどのように作られるのですか?

回答: 原子力は、基本的にウラン (Uranium) を利用しています。棒状のウラン (放射性を持っている、即ち中性子を放出している) を原子炉に注入して、水を入れます。水はウランにより温度が上がり、タービンを動かし、電力を作ると言う仕組みです。石油、木炭などを利用して電力を作るのと要領は同じなんです。

質問: Nuclear Fission (核分裂) とは、どう言うものなんですか?

回答: 核分裂とは意外と簡単なことです。先ず、ウランがありますね…それを精製し、ウランをウランの隣合わせにします。そうすることで、ウランが放出している中性子は、1つのウランからもう一つのウランに移り、戻り、それを繰り返すことで核分裂が起き、更に多くの中性子を放出するわけです。例えるのであれば、とあるバーで、喧嘩が始まったとして、それが広がった挙句、暴動が発生する…そのような感じに近いです。要は、ウランによって、他のウランを活性化し、放射性を高めているんです。その状態を上手く制御することで、より効率的にそして効果的に水の温度を上げることができる

質問: 要は、その方が他の手段を利用するより効率的と言うことですね?

回答: 効率は良いですよ… 問題が起きない限り。

<余談、割愛>

質問: メルトダウン (炉心溶融) とは、何が起きているんですか?

回答: 今の日本の状況が大きく変わったのは、日本政府がメルトダウンと言う言葉を使い始めてからなのですが… Chernobyl (1986年) の事態と比較してみましょう (ダラス氏は、幾度も現地に出入りし、現場検証などを行っている)。当時の問題は、発電の暴走を止めるべく、燃料棒と燃料棒の間に制御棒を注入することを試みました。原子炉はそのようにして止めるのですが… 要は、ストーブを止める場合は、スイッチを回してガスの供給を遮断するように、原子炉ではスイッチを回すことで、この制御棒が燃料棒の間に注入されるわけです。

質問: 「冷やす」ことと同じですか?

回答: いいえ。それはまた、違うプロセスです。この制御棒を注入する方法では、先の説明にあった核分裂を制御する・止める役割を果たします。
但し、原子炉の温度が下がり始めるまでには、数週間、もしくは数ヶ月かけて起きることであるので、まわりに随時、水がなくてはならないんです。水を循環させて、温度を下げて行く必要があるんです。

通常であれば、原子炉の温度が上がり、循環している水の温度も上がり、沸騰することでスチームを利用してタービンを回す…と言うことですが、この状況においては、原子炉の温度を下げていきたい。そのために、今度は水が利用されるのですが… それができなくなってくると…要は温度が下がらなくなってくると、メルトダウン (炉心溶融) が発生し始めるのです。

燃料棒の回りを循環していた水が減っていき、棒を覆っていることができなくなると、高い温度になっている燃料棒が溶けてくるんです。これがメルトダウンです。

Chernobyl に関しては、制御棒を注入しようとしたが、原子炉のデザインが悪く、うまく制御棒を注入することができなかったんです。Chernobyl では、燃料棒が溶けきった挙句、爆発が起きたんです。

今回の日本においての状況は、この制御棒を即座に注入し、原子炉の活動を制御しはじめたことです。Chernobyl では、燃料棒が溶けきった後に、更にそこで火災が発生し、爆発したんです。

質問: その段階で、放射性物質が環境に放たれることになったんですね?

回答: Chernobyl では、広島と長崎の原爆両方の放射能の約100倍の量で放出されました。それが空気上に放たれたんです。

今回の日本での状況との大きな差はそこにもあります。Chernobyl は完全なメルトダウンが発生し、爆破、放射性物質の放出…となりましたが、日本においては、制御棒を早く注入することができたので、部分的なメルトダウンが発生したと考えられます。

要は、地震発生時に、11の原子炉を止める作業に入り、バックアップのジェネレーターなどが稼働し水を十分に原子炉に注入していくことができ、温度を下げていけるのですが、問題の3台に関して、このバックアップのメカニズムが正常に働かなかったため、水がきちんと循環せず、結果的に燃料棒が露出してしまう状況に及んだんです。

ろうそくで例えてみると分かり易いかと思いますが、上から少しずつ蝋燭が溶けて行くのと似たような感じで、燃料棒が溶けていったと考えると良いでしょう。そして、水が達してるところかその近くで、溶けるのも止まっていると…

質問: 私が分からないこととしては、原子炉の中では放射性物質が多くあったり、核分裂が多くある中で、どのような状況になると、この放射線が空気中に放たれることになるんですか?

回答: 原子炉が含まれる容器と、その外部にまた、発電のメカニズムを進めるための部品やシステムが格納されている場所があります。日本での爆発は、幸いにも原子炉そのもの (燃料棒が入っている容器) ではなく、その外部にある個所であったと言うことです。しかし、先にも言った通り、バックアップのシステムが正常に稼働しなかった為に、海水を入れてなんとか制御しようとしたんですね。海水を利用するのは言わば最終手段です。Hail Mary (神頼み・マリアへの祈り・運を天に任せる) 状態です。海水は、当然水ですので、水素を含みます。燃料棒をそのまま露出させるよりはマシですが、海水を投与することで、この水素が溜り、可燃性の高い水素に引火し爆発が起きたと言うことです。それが既に2回起きているんですね (インタビュー時の事実)。

ただ、この水素がたまったのは、原子炉の中核部分ではなく、その外部にある個所でたまり、引火したと言うことです。

質問: 原子炉の外側にある個所が破損することで、放射性物質が空気上にでることになったと言うことですか?

回答: そこなんですが、ほんの少量の放射能しか放出されなかったんですね。大半の放射能は原子炉の中核部分にあるんです。現在でている情報から分かることは、現在の放射能の量は、通常において誰もが1年にさらされる放射能の量に、約1日で達していると言うことです。但し、放射能物質の量としては、それでも身体に害を及ぼすレベルではなく、Chernobyl と比較すると、約 1000分の1 くらいの量でしかありません。当然、Chernobyl では、多くの人が重い病気にかかりましたが…

質問: 今現在の状況において、放射線が広がるのは、どれくらいの範囲で、どれだけの影響を及ぼすと考えられますか?

回答: 現在の推測では、殆どの広がりは蒸気によるものと思われています。問題発生から原子炉のシステムの中では多くの蒸気がたまったので、蒸気を逃がす必要がありましたし、それが正しい対処方法でした。できる限り避けたい状態ですが、蒸気がたまるような状態に至ってしまった場合は、とにかくそれを逃がすことを考えなければなりません。なので、それと伴い、放射性物質が空気中に逃げていると考えられます。

数値としては、比較的低いとは思いますが、救助に向かった米軍でさえ、数名が浄化されなければならない状態でした。距離はかなり離れていたと認識していますし、このような状況を予想して、早めに海岸沿いからは離れていったにも関わらず、この状況に至っています。

一つ肝心なのは、今回の爆発は放射性物質の爆発ではなく、環境ないに溜まった水素が爆発したと言うことです。そして、観測できている放射能の量は、蒸気とともに放たれているものだと考えられます。

そして、これは意図的に原子炉の中核からも、外側からも放出しています ― 要は、そうすることで、原子炉自体の爆破を阻止している訳です。Chernobyl の二の舞にならないように…

<Chernobyl 詳細につき割愛>

20:04
質問: 今回の日本の被害に関して、貴方は Chernobyl の被害と 3 Mile Island の被害の間に位置づけられると言っていましたが、どのような意味ですか?

回答: 現状として、日本の被害は 3 Mile Island (スリーマイル島原子力発電所事故) より下の位置におかれています。それは当然、途中経過であるという事実もあるからです。しかし、それ以上にスリーマイル島と今回の日本の状態の違いとして、スリーマイル島の当時の事件は「通常時」に発生した問題であると比較して、今回日本では大災害のど真ん中で発生してしまった問題であると言うことです。

要は、経済的にも、社会的にも影響はありますし、特に精神的なダメージと言うものを絶対に軽視することができません。何年もそれは影響を及ぼす可能性があると考えています。

なので、原発の問題としてのスケールで Chernobyl と 3 Mile Island の間に位置づけているのではなく、総合的な災害 (DISASTER) と言う観点から、今回の日本の状況は被害レベルが非常に高いのではないかと考えています。

精神的なダメージと言う観点が一番の要因ですね。災害が人に及ぼすダメージと言うのは本当に計り知れないものです。New Orleans で起きたカトリーナに関しても、未だに完全に復帰できているとは言えない状態にいるのも事実です。ですので、やはり精神的に与えるダメージと言うことを軽視できません。

質問: 我々から見て、日本と言う国は、いかなることにも準備万端と思えるような国ですし、津波の事前報告システムに関しても、あの状況下において30分も先に報告がされるなど…アメリカでは、システムがないですよね… その資金がないと言う話も聞きますが…

回答: 確かに。そのようなシステムの需要は、当然、日本の方が高いですが、それよりもこのようなシステムが有能であることが今回は示されていると思います。今でも日に日に死亡者の数が増えてはいますが、通常の津波からの被害を考えると、システムがなかったら、その数は計り知れなかったでしょう。

<最後割愛>