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Surface Pro 3 のディスプレイの詳細

 (この記事は 2014 年 7 月 30 日に Surface Blog に投稿された記事 A Closer Look at the Surface Pro 3 Screen の翻訳です。最新情報については、翻訳元の記事をご参照ください。)

優れたディスプレイの条件とは何でしょうか。Surface チームは、低反射、環境光下の高コントラスト、高解像度といった特性を備え、画面が見やすく文字や画像が鮮明に表示されているものを、優れたディスプレイだと考えています。また、画像がはっきりと引き立つように、高彩度の色を一貫して正確に表現できなければなりません。さらに、Surface のディスプレイであることを考えると、思いどおりに仕事や遊びに利用するために、業界最高レベルのタッチやペンによる操作性を実現する必要もあります。Surface Pro 3 の 12 インチ ClearType HD ディスプレイを開発するにあたっては、これらすべての条件を満たすように取り組みました。その結果、仕事にも遊びにも最適なディスプレイが生まれました。デバイス ディスプレイのレビューを専門とする独立系サイトの DisplayMate に、Surface Pro 3 のディスプレイのレビュー (英語) が公開されています。それによると、「非常に正確で高パフォーマンスのディスプレイを必要とするプロフェッショナルにも、洗練された美しいディスプレイを求める一般ユーザにも勧められる最高レベルのディスプレイ」と評されています。

反射性と環境光下のコントラスト

夜空を見上げると、いくつの星が見えるでしょうか。その答えは、どこにいるかによって変わります。照明の多い都会では、星はあまり見えません。しかし、都会を離れてほとんど光害のない田舎に行くと、夜空には無数の星が輝いています。どちらの場所にいても同じ空を見ているのに、都会では周辺の光が邪魔になって明暗が不明瞭になり、空に輝く小さな点の数々が見えなくなります。そのうえ、都会では夜空の色もあせて見えます。

Surface チームが目指したのは、田舎で見る星空のように、鮮明かつ純粋な色で画像を表示することです。優れたディスプレイを作ることは単純な作業ではありません。しかも、タッチ スクリーン デバイスの場合、ガラス、プラスチック フィルム、空気、接着剤など、ディスプレイを構成する材料のすべてが「光害」に寄与する可能性があるため、難易度はさらに上がります。Surface チームでは目標を達成するために、競合他社製の 10 インチおよび 12 インチのタッチ スクリーン タブレットよりも (拡散反射と鏡面反射の両方の) 反射率を 10% 低減したディスプレイを作り上げ、周囲の反射光を抑制しました。その結果、生産性を最大限に高めるために明るくされているオフィスでも高コントラスト比が実現されました。500 ルクスの環境光 (明るいオフィスに相当) でコントラストを測定したところ、Surface Pro 3 のコントラスト比は競合他社製の 12 インチ タブレットを 20% 上回りました。また、DisplayMate の独自の分析 (英語) でも、低反射率と優れたコントラスト評価 (環境光下のコントラスト比と同様の結果) が得られています。

1: Surface Pro 3 と競合製品における反射率および環境光下のコントラスト比の比較。反射率と環境光下のコントラストの測定値はマイクロソフトの研究所で得られた結果です。反射率の値は角度や光源などによって変化します。

また、図 1 に示すように、Surface Pro 3 のコントラスト比は広範な角度において競合他社製デバイスのディスプレイを上回りました。

1: Surface Pro 3 と競合他社製 12 インチ タッチ スクリーン タブレットにおける水平方向の視野角でのコントラスト比の比較。

オプティカルボンディング

これまでの製品を含め、Surface のすべてのディスプレイにはオプティカル ボンディングの技術が採用されています。これはつまり、ディスプレイを構成する部品 (ガラス、LCD など) 同士がすきまのできないように接合されているということです。オプティカル ボンディングには主に 3 つの特長があります。それは、コントラストの向上 (光沢 / 反射率の低減)、視差の低減とタッチの正確性の向上 (詳細は後述)、そして機械的な強度と剛性の向上です。オプティカル ボンディングが施されたディスプレイでは、光を反射する個々の表面の数が少ないため、コントラストが向上します。その結果、以下に示すように、画像が鮮明に表示されます。

オプティカル ボンディングが施されたディスプレイ (右) では反射率が低減されるため、画像が鮮明に見えます。

以下の 3 つの画像では、ディスプレイの表示を比較しています。オプティカル ボンディングが施されたディスプレイでは反射がなく、鮮明な画像が表示されます。左側の 2 つの画像では、単一のタッチポイントに複数の反射が見られます。これは、LCD とカバー ガラスの間にすきまが存在するためです。

 

テキストと画像の鮮明度

高品質のディスプレイを実現するためには解像度も重要です。Surface Pro 3 の解像度は、一般的な視距離である約 38 ~ 45 cm の距離に最適化されています。図 2 に示すように、Surface Pro 3 を使用した場合、平均的なユーザは個々のピクセルを解像することができません。つまり、色の付いた個々の点を判別するのではなく、滑らかな線や形として認識します。そのため、テキスト、画像、写真が鮮明に見えるのです。

2: 平均的なユーザがディスプレイのピクセルを解像できる視距離と、ディスプレイの 1 インチあたりのピクセル数 (PPI) の相関関係。一般的な視距離である 45 cm では Surface Pro 3 のピクセルを解像できないため、線や形が滑らかに見えます。

色の正確性と一貫性

Surface Pro 3 のディスプレイでは、環境光下での表示が最適化され、高い鮮明度が実現されているだけでなく、色を一貫して正確に表現できるように、すべてのディスプレイが出荷前に調整されています。最近のタブレットのディスプレイは色域 (表現できる色の範囲) の拡大を追求する傾向にありますが、マイクロソフトは、それにとどまらず、すべてのデバイスできわめて正確な色を表現できる必要があると考えています。

カメラ テストでは、現実世界の像の大半を表す色の正確性を調整するために、次の画像に示すようなマクベス カラー チャートを利用するのが一般的です。Surface チームでは、同様のカラー チェック方法によって、Surface Pro 3 のディスプレイに意図したとおりの色で画像が表示されることを確認しています。また、どの角度から見ても色が一貫していることも重要です。広視野角 LCD を採用することで、明るい色と暗い色の色調 (ディスプレイのガンマ) および色彩 (色度) の相対的な差が、あらゆる角度から見て一定になっています (下の画像参照)。そのため、見る角度によって色の正確性が影響を受けることはありません。ちなみに、DisplayMate 独自の指標である JNCD (Just Noticeable Color Difference) では、平均 2.1 という結果が得られました。これは、目標とされるしきい値の 3 を下回っています。正面から見た場合と、垂直方向または水平方向 30° から見た場合の JNCD は 1 未満で、広い角度で非常に正確に色が表現されることを表しています。

マクベス カラー チャート

Surface Pro 3 でさまざまな角度から見た標準のテスト用画像

視差とタッチの正確性

紙に何かを書く場合、ペン先と書かれたインクの間に物理的な隔たりはありません。タッチ スクリーンのディスプレイに書く場合、スタイラスまたはペンの先端がガラスに触れている場所と、ディスプレイ スタックの内側の層にインクが表示される場所の間には物理的な隔たりがあります。視差とは、デバイスのカバー ガラスの上部にペンが触れる位置と、LCD 上に画像が生成される位置の実際の差異のことです (図 3)。図 3 は、タッチ対応のカバー ガラス、高透明性接着剤 (Optically Clear Adhesive: OCA)、LCD の最上部の偏光板とカラー フィルター ガラスの層を示しています。

紙にペンで書くような感覚を実現するために、12 インチのデバイスとしては最も薄いカバー ガラスとタッチ センサー スタックを採用し、競合他社製のペン付き 12 インチ タッチ スクリーン デバイスと比較して視差を 24% 改善しました。さらに、タッチ スクリーンと LCD のオプティカル ボンディング (図 4) を採用することで、Surface Pro 3 のユーザには、まるでペンから直接インクが出ているかのように、ペン先と描画した画像がほぼ完全に一致して見えます。

3: ディスプレイを構成する部品の厚さの合計が、見る角度によって知覚されるインクの位置に影響を及ぼすようすを示した図。

4: ディスプレイ / タッチ センサー スタック内部の光の伝搬の概略図。光の屈折は各界面で発生します。空気の層が存在しないほうが、光の伝搬が一定になり、実際のタッチ ポイントと知覚されるタッチ ポイントの差異が少なくなることがわかります (OCA とは、タッチ スクリーンと LCD を接合する高透明性接着剤 Optically Clear Adhesive の略です)。

実際に Surface Pro 3 をご利用になることで、ペンの描画の正確性を体感し、その書きやすさ (描きやすさ) を気に入っていただけることでしょう。Surface Pro デバイスでは、既に多くのデジタル アート作品 (英語) が作成されており、ペンの正確性を実証しています。

Surface Pro 3 を手に取っていただければ、ディスプレイの美しさにお気づきになるはずです。低反射と高コントラストが実現され、あらゆる角度から見て色が正確に表現されています。また、タッチやペンによる操作が非常に正確で、応答性が高いことにもお気づきになるでしょう。ここまでお読みいただき、優れたディスプレイの実現を支える技術や工学に興味を持たれたようなら、喜んで詳細をご説明します。しかし、ディスプレイのパフォーマンスに関しては、まさに「百聞は一見にしかず」です。ぜひストアにアクセスして、ご自身の目でお確かめください。

Surface スクリーン チーム: Stevie、Rajesh、Vicky、Abhijit、Ying、Andy

追記: Surface スクリーン チームが取り組んでいる、その他多数の製品レベルの検討事項については、以下の Society for Information Display の招待論文をご覧ください。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/j.2168-0159.2013.tb06141.x/abstract (サブスクリプションが必要です)