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Skype for Business の機能をアプリに追加してみよう その 1

今回から数回で、C# を使った、開発中のアプリケーションに Skype for Business の機能を組み込む方法を紹介します。

Unified Communications Web API (UCWA)

UCWA は Skype for Business (オンライン/設置型ともに) の機能を、簡単気軽に REST で呼び出せる API です。概要や基本的な使い方については、以下のブログがわかりやすいので参考にしてみてください。

https://blogs.msdn.microsoft.com/tsmatsuz/2013/03/26/lync-ucwa-unified-communications-web-api/

UCWA C# ライブラリ

UCWA 2.0 は現時点でオフィシャルの C# ライブラリがありませんが、コミュニティエフォートで公開中です。

ソース: https://github.com/kenakamu/UCWA2.0-CS

以下手順でローカルにソースをダウンロードしておきます。

1. https://github.com/kenakamu/UCWA2.0-CS にアクセス。

2. 画面右側の 「Clone or download」より「Download ZIP」をクリック。

3. 保存した ZIP を右クリックし「プロパティ」を確認。ロックされている場合はアンロックする。

4. ZIP ファイルを任意のディレクトリに解凍。

Skype for Business 環境の準備

兎にも角にも Skype for Business がないと試せないので、Office 365 E3 の体験版を申し込みます。既に環境がある場合はスキップしてください。

1. https://products.office.com/ja-jp/business/office-365-enterprise-e3-business-software にアクセス

2. 「無料試用版」リンクをクリック。

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3. ウィザードに従ってセットアップを進めます。大体 10 分くらいで完了します。

4. セットアップが完了したら、https://portal.office.com よりログインし、管理者アイコンをクリックします。

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5. 検証するために、ユーザーを数名追加します。ユーザー | アクティブなユーザーよりユーザーの追加ボタンをクリックします。

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6. 必須項目を埋めて、ユーザーを追加します。

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7. 同様の手順でユーザーを数名追加しておきます。

8. Skype for Business にログインできるか試します。左上のワッフルメニューより「メール」を選択します。

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9. 言語をタイムゾーンを選択してログインします。

10. 画面上部にある Skype アイコンをクリックして、Skype for Business ログインできるか確認します。

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11. 画面右上のユーザーアイコンをクリックして、ステータスを変更して、正しく反映されることを確認します。

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Azure AD への登録

UCWA を利用するためには、事前にアプリケーションを Azure AD へ登録する必要があります。

1. https://manage.windowsazure.com にログインします。Azure サブスクリプションが無い場合は、体験版をお試しください。

2. 「アプリケーション」タブをクリックします。

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3. 画面下の「追加」ボタンをクリックします。

4. 「組織で開発中のアプリケーションを追加」をクリックします。

5. 任意のアプリケーション名を入力し、「ネイティブ クライアント アプリケーション」を選択して「次へ」をクリックします。

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6. 任意の「リダイレクト URI」を入力して、「完了」をクリックします。

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7. 「構成」タブをクリックして、「ClientId」をコピーします。後で利用するので保存しておきます。

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8. 画面下方の「アプリケーションの追加」をクリックします。

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9. 「Skype for Business Online」を選択して、「完了」ボタンをクリックします。

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10. 「デリゲートされたアクセス許可」からすべての権限を選択します。

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11. 「保存」ボタンをクリックします。

サンプルアプリケーション

今回は UWP (Universal Windows) アプリケーションに UCWA で Skype for Business の機能を載せてみます。

1. Visual Studio 2015 を起動し、「新しいプロジェクト」を選択します。

2. Visual C#  | Windows | ユニバーサルメニューより「空白のアプリ」を選択、任意の名前を付けて「OK」をクリックします。

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3. 任意のターゲットバージョンを選択して、「OK」をクリックします。

NuGet パッケージの追加

1. プロジェクトを右クリックして、「NuGet パッケージの管理」をクリックします。

2. 参照より「Microsoft.IdentityModel.Clients.ActiveDirectory」(通称 ADAL) をインストールします。

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3. 同様に JSON.NET も追加します。

プロジェクトの追加

1. ソリューションを右クリックして、追加 | 既存のプロジェクトを選択します。

2. 事前にダウンロードして解凍したフォルダにある UCWASDK.csproj を選択して追加します。

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3. UCWAUWP プロジェクトの参照を右クリックして、参照を追加します。

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4. UCWASDK ソリューションを選択して参照を追加します。

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5. 一度コンパイルして問題がないか確認します。

認証用コードの追加

UCWA を利用するには Azure AD で OAuth 2.0 認証を利用しますが、ライブラリでは認証は各プログラムでやるようになっているため、以下の手順で認証のコードを追加します。

1. プロジェクトを右クリックして新しいクラスを追加します。ファイル名は TokenService.cs としておきます。

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2. 以下のコードを貼り付け、環境に合うように定数を書き換えます。

 public class TokenService
{
 public const string tenant = "ucwatest.onmicrosoft.com"; // i.e. "contoso.onmicrosoft.com";
 private static string clientId = "7b026311-5e71-4d3a-95d6-ef6a46d4434e"; // i.e. "4611b759-70fb-4465-953f-17949b15490a";
 private static Uri redirectUri = new Uri("https://localhost/ucwasample"); // i.e. https://localhost/app
 private static string sfbResourceId = "00000004-0000-0ff1-ce00-000000000000";
 private static string aadInstance = "https://login.microsoftonline.com/{0}";

 static public async Task<string> AquireAADToken(string resourceId = "")
 {
  if (string.IsNullOrEmpty(resourceId))
   resourceId = sfbResourceId;
  else
   resourceId = new Uri(resourceId).Scheme + "://" + new Uri(resourceId).Host;

  var authContext = new AuthenticationContext(string.Format(aadInstance, tenant));

  AuthenticationResult authenticationResult = null;

  try
  {
   authenticationResult = await authContext.AcquireTokenAsync(
   resourceId, clientId, redirectUri, new PlatformParameters(PromptBehavior.Auto, false));
  }
  catch (Exception ex)
  {
  }

  return authenticationResult.AccessToken;
 }
}

UCWA ライブラリの利用

UCWA ライブラリは、プロキシのインスタンスを作成後、必要なイベントを登録したら、後はサインインするだけです。

1. MainPage.xaml.cs を開き、以下の using を追加します。

 using Microsoft.Skype.UCWA;
using System.Net.Http.Headers;
using Microsoft.Skype.UCWA.Models;
using Microsoft.Skype.UCWA.Enums;

2. クラスレベルのプロパティとして UCWAClient client; を設定します。

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3. MainPage に以下のコードを追加します。

 client = new UCWAClient();

4. client プロキシは UCWA を呼び出す際、毎回 SendingRequest イベントを発行します。ここで認証情報を付与できるよう、以下のコードを追加します。

 client.SendingRequest += async (client, resource) => { client.DefaultRequestHeaders.Authorization = new AuthenticationHeaderValue("Bearer", await TokenService.AquireAADToken(resource)); };

5. client プロキシは他の多くのイベントに対応しますが、今回は他のユーザーのプレセンス情報が変わった通知を受け取れるよう、以下のコードを追加します。

 client.ContactPresenceUpdated += Client_ContactPresenceUpdated;

6. 次に初期化して、サインインするためのメソッドを追加します。SignIn にはいくつかの引数を渡せますが、ここではオンライン状態でサインインするようにしています。テナント名は変更してください。

 private async void Initialize()
{
 await client.Initialize("ucwatest.onmicrosoft.com");
 await client.SignIn(availability: Availability.Online, supportMessage: true, supportAudio: false, supportPlainText: true, supportHtmlFormat: false, phoneNumber: "", keepAlive: true);
}

7. MainPage メソッドの最後で上記 Initialize メソッドを呼び出します。

8. ContactPresenceUpdated が発生した場合に実行される Client_ContactPresenceUpdated メソッドを追加します。中身は後で実装します。

 private void Client_ContactPresenceUpdated(ContactPresence contactPresence, Contact contact)
{
}

アプリケーションのテスト実行

この時点で一度アプリケーションを実行してみます。

1. MainPage.xaml.cs の Initialize メソッド内にブレークポイントを貼ってからプログラムを実行します。

2. サインイン画面が表示されます。ユーザー名、パスワードを入力してログインします。

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3. 無事サインインできれば成功です。アプリケーションを終了します。

ログインユーザーの情報取得

次にログインしているユーザーの情報を取得してみましょう。ユーザーの情報は client.Me よりプロパティまたはメソッドの実行で取得できます。今回は UI 側も触ります。

1. MainPage.xaml を開き既存の Grid 内に以下の XAMLを追加します。

 <StackPanel Margin="30">
 <TextBlock x:Name="name"/>
 <TextBlock x:Name="title"/>
 <TextBlock x:Name="presence"/>
 <TextBlock x:Name="note"/>
</StackPanel>

2. MainPage.xaml.cs ファイルを開き、以下のコードを Initialize メソッドに追加します。

 name.Text = client.Me.Name;
title.Text = client.Me.Title ?? "";
presence.Text = (await client.Me.GetPresencs()).Availability.ToString();
note.Text = (await client.Me.GetNote()).Message;

3. アプリケーションを実行して結果を確認します。以下の場合タイトルとメモが無いため空白ですが、名前をステータスが取れています。

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まとめ

今回は一旦ユーザーでログインをしてデータを取得するところまでやってみました。次回はよりリッチな機能を追加してみます。

– 中村 憲一郎