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[Blog翻訳] World IPv6 Day と Windows

みなさん、こんにちは。Windows 開発統括部の古内です。

2011 年 6 月 8 日に 「World IPv6 Day」 という、全世界で 1 日間 IPv6 を特定の Web サイトやサービスで使用する大規模な試験運用イベントが予定されています。このイベントについて説明された、2011 年 5 月 20 日に IPv6 Blog へ投稿された 「World IPv6 Day and Windows」 の翻訳記事をお届けします。

なお、この日、世界中の多くの Web サイトが IPv6 への対応を行うことになりますが、その IPv6 対応により、Internet Explorer 7 および Internet Explorer 8 をお使いの場合、正常に Web サイトへアクセスできないなどの現象が発生する可能性があります。これについて、こちらの Web ページ (特に 「重要:World IPv6 Day に関する重要なお知らせ」) に情報がまとめられていますので、併せてご参照ください。


World IPv6 Day と Windows

インターネット アドレスの割り当てを行う国際機関 Internet Assigned Numbers Authority (IANA) は、2011 年 2 月 3 日、Internet Protocol version 4 (IPv4) アドレス ブロックの最終割り当てを完了しました。IPv4 アドレスは、インターネットの 「電話番号」 と言えるもので、コンピューターの識別や、コンピューター間の通信に使用されています。 IPv4 のアドレス数は 40 億に上りますが、 インターネットを使用する多くのユーザーや企業が、インターネットに接続するデバイスを複数所有していることを考えれば、アドレスが枯渇してしまった理由は明らかです。

現在、米国内の多くの世帯には、「固有」 の 「パブリック」 な IPv4 アドレスが割り当てられています。電話番号のような役割を持つこのアドレスによって、ユーザーは互いに通信でき、またどのユーザーもルーティング可能な固有の識別子を持っています。 IPv4 アドレスの枯渇による最も直接的な影響としては、インターネット サービス プロバイダー (ISP) が利用者に IPv4 アドレスをこれまでのように割り当てられなくなることが考えられます。 こうなると、多くの世帯がネットワーク アドレス変換 (NAT) を利用して、アドレスを共有しなければならない事態に陥ることも予想されます。

IPv4 アドレスの枯渇は、短期的には、通常のインターネット使用に何ら影響を及ぼしません。この点は正しく理解しておく必要があります。 しかし長期的には、以下のような問題が懸念されます。

  • ラージ スケール NAT (LSN) では、特にピアツーピアのシナリオにおいて、パフォーマンスと信頼性に関する問題が生じる可能性があります。 マルチプレイヤー ゲームでは問題が発生する可能性が高くなります。
  • 多くの Web サイトが、IP アドレスからユーザーの所在地を割り出し、その地域に合ったサービスを提供しています。 たとえば、ユーザーの居場所に一番近いピザ屋を自動的に見つける Web サイトがあります。 さまざまな場所に散らばる多数のユーザーが IP アドレスを共有することになれば、ユーザーの場所情報を利用したこのようなサービスを提供することはきわめて困難になります。
  • Web サイトをサービス拒否 (DoS) 攻撃から保護するセキュリティ ツールの多くは、そうした攻撃の特定と分析に IP アドレスを使用しています。 IPv4 の枯渇が深刻になるにつれて、こうしたツールでは、何ら不正な行為を行っていないユーザーに突然アクセスできなくなってしまう恐れがあります。
  • IPv4 アドレスのセキュリティ保護がますます難しくなることから、企業はオンライン プレゼンスを拡大することが困難になります。

ソリューション: IPv6 の登場

こうした問題を回避するために、インターネットでは現在、新しいプロトコルである Internet Protocol version 6 (IPv6) への移行が進んでいます。 IPv6 では莫大な数の固有アドレスが提供されます。1 人あたり 10 億個以上のアドレスを利用できる計算となるため、 よほどのことがない限り、アドレスが枯渇することはないでしょう。 Web サイトやインターネットは、徐々にこの新しい通信体系に移行しつつあります。IPv6 への移行によって、インターネットはさらなる発展を遂げるに違いありません。

2011 年 6 月 8 日に開催される World IPv6 Day には、Bing.comXbox.com をはじめとする多数の IT 企業が参加を予定しています。 現時点ではほとんどの Web サイトが IPv4 しかサポートしていませんが、World IPv6 Day 当日には IPv6 でのアクセスにも対応した 「デュアル スタック」 に移行します。

この 1 日限りの試験運用によって、インターネット コミュニティによる IPv6 の実用に向けた準備体制の評価が可能になります。 インターネット通信を利用するすべてのハードウェアとソフトウェアがスムーズに IPv6 に移行できるかどうかが検証される予定です。 また、ノート PC、家庭用ルーター、Web サーバー、ネットワーク負荷分散装置などのさまざまな機器について、堅牢でスケーラブルな IPv6 のサポートが可能かどうかについても検証が必要です。

World IPv6 Day の存在は、それほど多くの人には認知されていません。 IPv6 接続に未対応の場合には、これまでと同様の方法を利用できます。一方、IPv6 接続が可能な場合には、参加する Web サイトにアクセスすると自動的に IPv6 に切り替わります。Windows では、Windows XP 以降で IPv6 のサポートに取り組んでいます。 Windows Vista および Windows 7 では、ISP やローカル ネットワークから IPv6 が提供されている場合、自動的に IPv6 が使用されます。

IPv6 "Brokenness" 問題

World IPv6 Day 当日には、ほとんどのユーザーがサイトに支障なくアクセスできるようになるはずです。 しかし、必ずしもすべての ユーザーで問題が発生しないとは言い切れません。実は今回、IPv4 と IPv6 の両方の接続をサポートする Web サイトにアクセスした場合にユーザーがネットワークに接続できなくなってしまう現象 (「IPv6 Brokenness」 と呼ばれる問題) がどの程度発生するかを検証し、これを解決したいと考えています。 たとえば、インターネット接続の設定が不適切だと、 コンピューターやブラウザーが正しい IP アドレスを取得できない可能性があります。 この問題に対処するには、サポート技術文書で提供している 「World IPv6 Day におけるインターネット接続の問題」 の修正プログラムを適用する必要があります。

現在の認識では、この問題に直面するインターネット ユーザーの数は全体の 0.1% 未満に過ぎません。 以下で紹介しているテスト (*注) を実行することで、皆さんの環境でこうした悪影響が生じるかどうかを確認することができます。また、IPv6 で Web サイトにアクセスできるかどうかもここでチェックできます。

これは、皆さんのコンピューター、構成情報、ローカル ネットワーク、ISP から提供されるインターネット接続環境に対する、ごく基本的なテストです。 インターネット カフェなどで実行して悪い結果が出たとしても、ご自宅の環境では結果が異なる場合があるのでご注意ください。

(*注) テストの結果については、こちらのオリジナルの英語 Blog 記事の下の方、[Related Links] セクションの上をご確認ください。

関連リンク


追伸
総務省も World IPv6 Day へ参加するようです。詳細は総務省の報道資料をご参照ください。