Windows 10 におけるバルーン チップのイベント通知仕様について
こんにちは、Platform SDK (Windows SDK) サポートチームです。
今回は、Windows 10 における、バルーン チップに関する現象についてお知らせします。
何れの現象も、現時点では、MSDN ライブラリ等の弊社公開ドキュメントにて記載されていないので、ぜひご参照ください。
前提
タスクトレイにアイコンを表示して常駐するアプリケーションから、ユーザーへ通知を行う手段の一つとして、バルーン チップがあります。
Windows 10 では、バルーン通知をトースト通知に変換する機能が既定となっています。
このため、Windows 8.1 以前にバルーン チップを表示させていたアプリケーションを、Windows 10 にて使用した場合、バルーン チップではなくトースト通知として表示されます。
Windows 10 Pro、Windows 10 Enterprise、Windows 10 Education では、以下のとおりグループポリシーを変更することにより、トースト通知ではなく、バルーン チップとして表示することが可能となります。
- [スタート] ボタンを押下し、[すべてのアプリ] をクリックする。
- [Windows システム ツール] 内、[ファイル名を指定して実行] をクリックする。
- gpedit.msc を実行する。
- [ローカル グループ ポリシー エディター] 内、[ユーザーの構成] - [管理用テンプレート] - [タスク バーと [スタート] メニュー] を開く。
- 右側のウィンドウから、[トースト通知を無効にしてバルーン通知を使用する。] をダブル クリックする。
- [有効] のラジオボタンをチェックし、[OK] をクリックする。
- システムを再起動する。
同じアプリケーションを使用した場合、設定前後で以下のように表示が異なります。
<設定前>
<設定後>
概要
上記設定により、バルーン チップが表示されるので、この設定をした上で、下記三点の現象について、ご紹介します。
- タスクトレー アイコンをクリックした場合のイベントが、バルーン表示中とバルーン非表示の状態とで異なる。
- 表示中のバルーンへのクリック操作で通知されるイベントが Windows 10 と Windows 8.1 以前の OS で異なる。
- 表示中のバルーンがタイムアウトして自動的に消える際に通知されるイベントが、Windows 10 では通知されない。
現象
1. タスクトレー アイコンをクリックした場合のイベントが、バルーン表示中とバルーン非表示の状態とで異なる。
バルーン表示中にも、タスク トレー アイコンをクリックすることができますが、バルーン表示中とバルーン非表示の状態とで、発生するイベントが異なります。
具体的には、以下のとおりです。
本現象は、Windows 10、および Windows 8.1 以前の OS における仕様です。
2. 表示中のバルーンへのクリック操作で通知されるイベントが Windows 10 と Windows 8.1 以前の OS で異なる。
バルーン表示中に、バルーンに対してクリック操作した場合、Windows 10 と Windows 8.1 以前の OS にて、発生するイベントが異なります。
具体的には、以下のとおりです。
Windows 10 では、トースト通知やバルーン通知に対して、多くの仕様変更がありました。
本現象は、Windows 10 における仕様変更です。
3. 表示中のバルーンがタイムアウトして自動的に消える際に通知されるイベントが、Windows 10 で通知されない。
バルーン チップは、設定した時間が経過すると、タイムアウトし、自動的に消失します。
その際、Windows 8.1 以前の OS では、NIN_BALLOONTIMEOUT が発生しますが、Windows 10 では、全くイベントが発生しません。
本現象は、Windows 10 における不具合に起因して発生しています。
本現象に関する OS の動作を変更できるような設定や、関数はないため、回避方法はありません。
マイクロソフトではこの問題を製品の不具合と認識しておりますが、開発部門にて検討中のため、現状では、修正プログラムは提供されていません。
弊社製品の不具合によりお客様にご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。