修正プログラムにまつわるお話
おはようございます。Platform SDK (Windows SDK) サポートの junyoshi です。今年から本ブログのライターとして加わりました。ユーザー インターフェイスやネットワーク、サービスなど、Windows 上でのさまざまなアプリケーション開発について、開発者のみなさんからのお問い合わせに対応しています。以後、お見知りおきいただけますようお願いします。
さて、まったく話は変わりますが、インフルエンザが流行っていますね。今年は A 型が、というお話をよく聞きますが、B 型にかかったという方もいらっしゃるようで、毎年のことながらどれに気を付けたらよいというのはなさそうです。当然、私は医療の専門ではありませんが、先日テレビで「手洗い、うがいは確実なものではない」と放送していました。インフルエンザは飛沫感染で、ウィルスは肌や粘膜に付着したら手洗いやうがいをするよりも早く侵入してしまうから、というのが理由でしたが、そうすると事前に準備が必要なので、予防接種しかないということですね。とは言っても、少しでも遠ざけられるなら、と考えて手洗い、うがいを続けたいと思います。
GDR と LDR って何?
Windows をお使いいただいていると、よく Windows Update や Microsoft Update というウィンドウが表示されて Windows を更新するよう促されることがあると思います。OS の不具合が修正されたり、新しいモジュールが提供されたりすると、よりよい環境をご利用いただくためにプログラムが提供されます。PC からインターネットを通じて定期的にマイクロソフトのサイトをご確認いただくことで、新しいモジュールが見つかり、簡単なユーザー インターフェイスによってインストールすることが可能となっています。
でも、実際に Windows Update から PC にインストール可能なプログラムは、マイクロソフトが提供しているものの一部です。たとえ、製品の不具合を修正したものであっても、すべてがインストールされるわけではありません。それはなぜか。
マイクロソフトでは、大きく分けて以下の 2 種類の修正プログラムを提供しています。修正プログラムとは、製品の不具合を修正するプログラムのことです。
- Limited Distribution Release (LDR)
以前は、Quick Fix Engineering、略して QFE と呼ばれていました。ある特定の問題を解決するために修正が行われ、その問題が解決されていることをテストにより確認した上で公開された修正プログラムです。局所的なテストとなることが多いので、修正がほかの機能に影響している可能性があります。
- General Distribution Release (GDR)
広範囲のお客様に提供するために、さらに多くのプロセスを経て、追加テストなども行った上でリリースされる修正プログラムを指します。
LDR は、局所的な問題解決であり、万人向けとは言い難いため、修正される原因となった問題の影響を受けているお客様向けに提供しています。問題に関する情報は、マイクロソフトの Web サイトからサポート技術情報として公開しており、修正が必要と判断された方に対して修正プログラムを提供し、インストールしていただいて問題を解決していただきます。これに対して、GDR は、多くのテストを実施し、Windows を使用するすべてのお客様に提供することを目的に用意されるものであるため、Windows Update などを通じて PC にインストールしていただけるようにしています。
そのような区別をせずに、すべて GDR として提供すればよいのではないか、というご意見もおありだと思います。でも、OS にはさまざまな機能やアプリケーション、ツールなどが含まれており、これらすべてをテストしてからリリースするということになると、コストも時間もかかり、タイムリーに修正するということができなくなります。このため、このようなレベルを設け、あるユーザーは関係するものの、ほかのユーザーには関係しないという機能であれば、その関係するユーザーのみに LDR を提供することにより影響範囲やインストールの手間も局所的なものに抑えるというように考えて、このような提供形態にしているとお考えいただければと思います。
ちなみに、実際には GDR のほかにサービス パックという提供形態があります。これは、LDR と GDR を含めてひとつのパッケージにまとめ、すべてを適用した上で機能をテストしたものです。場合によっては新機能が含まれていますし、Windows Update などによる修正プログラムの適用では解決しなかった問題もサービス パックの適用により解決することが考えられますので、ぜひ適用することをご検討ください。
修正プログラム間の関係
サポート技術情報を見ていただくと、同じモジュールに対して複数の修正プログラムが公開されている場合があります。この修正プログラム間にどのような関係があると思われますか。
基本的に、バージョンの新しいモジュールには、それまでの修正がすべて含まれていると考えてください。つまり、新しいバージョンのほうの修正プログラムを適用すれば、それ以前の問題も同時に修正されるということになります。GDR であれば問題ないと思われますが、LDR だと局所的なテストを繰り返している状態であるため、ほかの問題が発生する可能性がありますのでご注意ください。
入手方法
GDR は Windows Update などからインストールしていただけますが、LDR は各サポート技術情報に書かれている手順にて修正プログラムを入手していただく必要があります。最近は、サポート技術情報のページ上にあるリンクから表示される Web ページにて申請していただくことで、ダウンロード サイトなどの情報が書かれたメールを経由して修正プログラムダウンロードしていただけるようになっているものもありますが、古い修正プログラムだとやはり窓口にご連絡いただかないとならないものがあります。その場合には、お手数ですが以下にご紹介するお問い合わせ窓口より入手していただければと思います。
Microsoft サポート 電話によるお問い合わせ
※ 下のほうになりますが、「修正プログラムの入手」という情報があります。
まとめ
一概に修正プログラムといっても、対応レベルに差があり、区別していただく必要があります。お手数をおかけすることになってしまい申し訳ないのですが、この点ご理解いただいた上でご利用いただければ幸いです。
最後まで読んでくださいましてありがとうございます。修正プログラム自体を提供する必要がないようにすべきではあるのですが、どうしても抜けが発生してしまいます。それをどのように速やかに修正してお客様に届けるかを日々考えながら対応していますので、大変恐縮ですがその点はご理解いただけますようお願いいたします。