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CSS 2.1 が完成: Web 標準の発展をさらに促進

本記事は、マイクロソフト本社の IE チームのブログから記事を抜粋し、翻訳したものです。 

【元記事】CSS 2.1 Complete: Unblocking Faster Web Standards Progress (2011/6/29 8:03 AM)

CSS 2.1 仕様は、先日、確定済みの標準として完成され、W3C 勧告として公開されました。これは、多くの Web テクノロジをより速く、より優れた方向へと発展させる大きな力となります。まず第一に、CSS 2.1 の完成は、他の CSS や、より大きな W3C HTML5 ファミリ内の他の重要なテクノロジも含めて、Web の今後の発展をいっそう促進します。さらに、CSS 2.1 で得られた教訓が、Web 標準の実際の相互運用性の測定や向上に役立つことも期待されています。

CSS 2.1 は "ほぼ完成" してからかなりの時間が経っているため、10 年以上要したにもかかわらず、勧告となったことの重要性が見過ごされがちです。しかし、"ほぼ完成" した状態でしかなかった CSS 2.1 が勧告となったことは、やはり非常に重要な意味を持ちます。ハード ドライブやモニター、キーボードであれば、"ほぼ完成" した状態は一般的に受け入れられるものではありません。CSS 2.1 の完成は、Web にとってのターニング ポイントと言えます。

Web の発展の促進

CSS 2.1 の完成は、CSS の作業部会にとって、Web を CSS 3 でさらに発展させるための安定した基盤が整えられたことを意味します。W3C および Web コミュニティは、このたび CSS 2.1 の仕様に関する作業を終了し、標準化プロセス (参照リンク) の最終段階を終え、CSS 2.1 を勧告 (参照リンク参照リンク) として公開しました。W3C は、CSS 2.1 標準と同時に、CSS3 Color に関する最終標準も公開しています。CSS3 Selectors およびその他の多くのテクノロジ (参照リンク) もすぐに公開されることでしょう。CSS 2.1 の場合ほど時間はかからないはずです。先週、作業部会のミーティング (参照リンク) が日本で行われましたが、そこで CSS3 の多くの新機能 (マイクロソフト提案の Grid レイアウト、アドビ提案の RegionsFlexible Box モデルなど) を進展させることができました。マイクロソフトは、CSS3 Floats および Positioning の新しいモジュールも提案しました

標準の完成は、テクノロジを開発者やユーザーが利用できるものにするうえで重要なプロセスです。確定されていない不安定なテクノロジを製品に早期導入する際にユーザーや開発者が直面する問題については以前の記事で扱いました。これにまつわる開発者の体験をビデオ ドラマ化したもの (職場で見るには不適切な内容が含まれている可能性あり) は、多くの反響を呼びました。以下の一覧からわかるように、W3C HTML5 仕様の多くがまだ開発中です (それぞれが標準化プロセスのどこまで進んでいるのかも示されています)。相互運用性のある最先端の Web をさらに進化させるには、これらのテクノロジの安定化と確定が重要です。

Diagram of Family of W3C HTML5 Specifications

プロフェッショナルなエンジニアリング

CSS 2.1 は、現在、最も多くのテストを通過し、最も相互運用性に優れた Web 標準と言えます。その広範囲にわたるテスト スイートは、後に続くあらゆる標準の基準となっています。今後コミュニティは、少なくとも同レベルのテストが実施されることを期待するでしょう。

開発者やユーザー、企業にとって、テストは標準化プロセスのきわめて重要な一部です。テストというエンジニアリング パターンは、高品質で堅牢な業界レベルの標準が実際の相互運用性を実現するために欠かせないものです。CSS の作業部会およびコミュニティは、こうした品質レベルの達成に向けて真剣に取り組みました。すべての機能は、別個のしかし相互運用性のある実装が 2 つ以上存在することで、その標準が機能していることが証明されます。テスト スイートは仕様を包括的にカバーするものです。このスイート内の全テストの有効性を確認し、各ブラウザーで発覚した問題をベンダーに認識させ、修正させるという点では、コミュニティが大きな役割を担います。これは、実際の場で機能する標準を確立するために重要な活動です。新しい機能の相互運用性を実現するためにコミュニティが求めるものは、あいまいさのない仕様です。だれもが新しい機能を相互運用性のある形で実装でき、その正しさをテストできるような仕様が必要です。

前進に向けて

W3C HTML5 仕様は、重要な段階の 1 つ、最終草案になりました。

HTML5 のテストスイートは、同一のマークアップ (同一の HTML、CSS、スクリプト) を、各種の HTML5 実装で同じように機能させるために欠かせない役割を果たします。このスイートには現在約 30,000 個のテストが含まれていますが、今後さらに多くのテストが必要とされます。どなたでもテストに貢献することができます。詳しい支援方法については、HTML テストに関する Wiki ページ ( 英語) を参照し、ご質問がある場合は public-html-testsuite@w3.org にご連絡ください。CSS3 モジュールの完成に向けて皆さんのご支援をお待ちしております。ぜひテストを作成し、W3C にご提供ください。

CSS 2.1 の完成は、相互運用性のある、強力な Web 標準に向けての大きな節目となりました。今後も、相互運用性のある Web 標準がさらに発展していくことを期待しています。

- Adrian Bateman、プログラム マネージャー、Internet Explorer