Dynamics CRM 2014 年春/SP1 SDK の新機能 Configuration Migration ツール前編
みなさん、こんにちは。
今回は Microsoft Dynamics CRM Online 2014 年春バージョン及び設置型用
サービスパック 1 で提供される SDK の新しいツールより Configuration
Migration Tool を紹介します。今回は概要を紹介し、次回で実際の動作を
確認していきます。今回は文字ばかりで次回は画面ショットばかりですが
いずれも重要な情報ですので、是非ご覧ください。
概要
Microsoft Dynamics CRM 用のカスタムのソリューション開発を行う場合、
ソリューション機能を利用することでカスタマイズ情報やシステム設定の
情報、カスタムレポートやワークフロー、プラグインなどは容易に他環境
に移行できますが、独自の設定をカスタムエンティティのレコードとして
持たせている場合、レコードは別途エクスポート/インポート機能などを
利用して移行する必要があります。ただし複雑な関連がある場合は、容易
なタスクではありませんでした。
Configuration Migration Tool は上記のタスクを容易に行えるツールとして
提供されます。つまり異なる Microsoft Dynamics CRM 組織間でレコードを
容易に移行することが可能です。
機能
Configuration Migration ツールには以下の機能があります。
・ エクスポートしたいエンティティとフィールドを指定できます。
・ 複数のフィールドを利用してレコードの一意性を指定できます。これに
より重複レコードの作成を避けれます。特に指定がない場合は、プライマリ
フィールドの値を持って重複の確認をおこないます。
・ プラグインの無効/自動を制御できます。
・ インポート前に移行先組織に必要なカスタマイズが適用されていることを
自動で確認します。
・ 既存のスキーマ利用して、移行元の組織からデータをエクスポートします。
・ ツールでエクスポートしたデータを他のプログラムに含めて利用する。
こちらは後日詳細を紹介します。
尚、Configuration Migration ツールでデータをエクスポートする際には、
フィルターを行うことはできず、対象エンティティのすべてのデータを
エクスポートします。
動作
以下に Configuration Migration ツールが動作するフローを紹介します。
1. 移行元組織からエクスポートするデータのスキーマを生成します。
スキーマ情報にはエンティティやフィールド、関連などの情報の他にも
一意となるフィールドの組み合わせや、プラグインを無効にするべきか
などの情報を含みます。
2. スキーマ情報を元にデータをエクスポートします。エクスポートした
データはスキーマと一緒に .zip ファイルに圧縮されます。
3. .zip に含まれるスキーマとデータを利用して、移行先組織にデータを
インポートします。インポート処理はデータの依存関係を把握した上で
何度かのプロセスを経て行われます。
トラブルシューティング
万が一ツールがうまく動作しない場合にも、ツールはログを出力することが
可能なため、容易にトラブルシューティングを行えます。ログは以下パスに
出力されます。
c:\Users\ <UserName> \AppData\Roaming\Microsoft\DataMigrationUtility\ <Version>
Login_ErrorLog.log
Microsoft Dynamics CRM 組織へのログインに失敗した場合に出力されます。
DataMigrationUtility.log
ツールで行う各タスクにおけるエラーの詳細を含みます。ツールのログメニュー
からも表示可能です。
ImportDataDetail.log
インポートされたデータの詳細を含みます。ツールでデータをインポートする
度に以前のログは ImportDataDetail._old.log ファイルに移動されるため、常に
最後に実行した情報が含まれます。
ベストプラクティス
・データのエクスポートをする際、一意となるフィールドの組み合わせを明示
的に指定する。
・データのインポートは一旦テスト環境に行い、意図した通りの動作である事
を確認してから本番環境でのインポートを行う。
・本番環境のデータはバックアップしておく。
次回は上記の情報を踏まえて実際のツールの使い方を紹介します。
- 中村 憲一郎