Google Apps: 丸い穴に四角い栓を押し込む
(この記事は Whymicrosoft.com に 2012 年 8 月 17 日に投稿された記事の翻訳です)
「鍵穴からのぞき込む人は、ほとんどのものが鍵穴の形をしていると思い込みがちだ」と言われています。物事を白か黒かで判断する人、世界に対してあまりに単純な見方をする人のことは、誰もが知っています。世界を全か無かの観点で捉えると、グレーの部分、つまり周りの世界の複雑さを見落としてしまいます。
これがまさしく、Google がエンタープライズに対して行っている誤りです。Googleは、企業の固有のニーズを把握しようとせず、次のような単純な2 段階のレシピに従って企業顧客に対応しています。
- コンシューマー向け製品を作成する (ここが広告料金の発生するところなので)。
- 企業が順応することを期待する。
Google の前製品管理担当副社長であった Dave Girouard は、基調講演で次のように述べました。「IT のコンシューマライゼーションが、明らかに当社の活動の中心的な指針になります。
Google は第一に、これまで数年にわたって、エンタープライズ スイートの一部になっているコンシューマー向けのテクノロジを提供してきました...このことが実際に、当社の活動における特別な、他と異なる特徴になっていると考えています」
企業顧客に対するごまかし
市販のケーキ ミックスを使い、卵をかき混ぜて、できあがったものをオーブンに入れるようなものです。最高のケーキにはならないかもしれませんが、手間はあまりかかりません。Google は企業顧客に対して同じような近道を採っています。Google は、どの種類のケーキがその企業顧客の固有のニーズに最も適しているかを把握するために詳しく調査するのではなく、1 つのケーキだけを出します。そしてこのケーキこそが、好むと好まざるとにかかわらず、コンシューマー バージョンなのです。
誤解しないでください。IT のコンシューマライゼーションは、企業においては非常に重要な動向です。かつてコンシューマー領域のみにあった多くのテクノロジは、重要な面で職場を変革していますまた、従業員が、私生活で慣れ親しんでいるものと同じソーシャル メディア テクノロジを職場で使用するというのも、理に叶っています。
ただし、IT のコンシューマライゼーションは、現在の企業に影響を与える多くの動向の 1 つに過ぎません。現実には、企業のニーズは多様で複雑であり、それらに適切に対応するには、そのニーズと課題に関する緻密な理解が必要になります。
マイクロソフトは 20 年以上にわたってあらゆる規模の企業にサービスを提供してきた経験がありますが、Google は反対に経験もなければ関心もありません。これは、Google がその収益の 96% を広告から得ており、広告収益がそのビジネスのコンシューマー側から発生しているためです。Google の前エンジニアリング責任者であった James Whittaker 氏は次のように述べています。「私が情熱を注いでいた頃の Google は、従業員に変革の力をもたらしてくれるテクノロジ企業でした。私が辞職したときの Google は、会社から義務付けられたことだけをやっていればよい広告会社になっていました」
丸い穴に四角い栓を押し込む
それでは、Google のエンタープライズ戦略とは、どのようなものなのでしょうか? これは基本的に 4 本の柱で構成されますが、どれもコンシューマーを重視する視点から生じたものばかりです。
- ピュアで実績のあるクラウド — Google の "ピュア" なクラウド戦略は、企業が必要としているオプションを提供することができません。ほんの一握りの組織には、効果がある可能性があります。ただし調査は、大多数の企業がハイブリッド アプローチの採用を予定していることを示しています。さらに、Google のクラウド戦略を "実績ある" と主張することには無理があります。計画されたロードマップの欠如から、但し書きだらけのサービス レベル契約 (SLA) まで、Google Apps はエンタープライズに対応するという要件を満たしていません。
- チーム向けの設計 — チームワークは組織の成功にとって重要です。ただし、複数の調査によれば、従業員の半数以上が作業時間の約 70% を単独で過ごしています。実際には、企業は両方のシナリオに適したソリューションを必要としているのです。とは言うものの、チームワークが Google の焦点であるのなら、Google はきちんとそれに対処するだろうと考えるでしょう。ところが事実は違います。変更を追跡する機能から、ドキュメントをチェックインおよびチェックアウトしてバージョン管理を維持する機能まで、Google Appsは、チームが必要とする最も一般的な機能の一部を提供できていません。
- どこでも生産性を確保 — モバイル コンピューティングは企業にとってもコンシューマーにとっても重要ですが、この領域でも Google Apps は不十分です。飛行機に乗っているときや、インターネットにアクセスできずリモートで作業している場合、Google Apps のオフライン サポートは限定的で、今日の生産性の期待に到底応えることはできません。プレゼンテーションやスプレッドシートを使用している場合は、残念ながら、使用できるようになるまで待つしかありません。
- シンプルで手頃 — Google Apps は、非常にシンプルなので、率直に言って必要最小限の機能しかありません。顧客によってはこれで十分な場合もあります。しかし、軽さ以上のものを必要とする多くの企業からすれば、アドオン製品のコストがすぐに増大することになります。
以上のことをまとめると、Google のアプローチは、今日の企業のニーズがコンシューマーのニーズと同一だと想定することによって、このニーズを単純化し過ぎています。結局、それは丸い穴に四角い栓を押し込んでいるようなものです。
包括的な IT ビジョンの必要性
IT のコンシューマライゼーションに加え、ビジネスのさらなる技術革新を推し進める他の動向が多数存在します。クラウド、ビッグ データ、およびアプリケーションの性質の変化はすべて、より効果的に競争していくための、企業と顧客、パートナー、および従業員とのかかわり方に影響しています。クラウドは、技術革新の新しいモデルを開拓し、カスタム アプリケーションの展開と提供にかかる時間を短縮します。ビジネス インテリジェンス ツールはより高度になり、従業員はリアルタイム データを使用して、より効果的かつ戦略的、作戦的、および戦術的な決定を行えるようになります。マイクロソフトは、この急変するビジネスおよび技術的状況に応じて企業が進化するに従って、独自の立場から企業をサポートすることができます。
マイクロソフトは、企業の生産性を、副次的なプロジェクトではなく、中心となるビジネスとして扱っています。それゆえ、ビジネスにおけるクラウドへのニーズを真摯に受け止めているのです。Office 365 はエンタープライズ クラスのサービスであり、セキュリティ、プライバシー、信頼性、および管理性に関する最も厳しい要件を満たすように設計されています。詳細については、新しいホワイトペーパー「大企業が Microsoft Office 365 を選ぶ上位 10 の理由」を参照してください。
マイクロソフトは、企業を相手にする場合はカスタマイズしたアプローチを採り、それぞれのビジネス固有のニーズに適合するようにソリューションを調整します。テクノロジをサイロ化して捉えず、コンシューマー向けに設計されたソリューションを採用するよう企業に強いることもしません。ビジネスをテクノロジより優先することによって、マイクロソフトはお客様と協力のうえ、戦略、アーキテクチャ ロードマップ、ビジネス ケース、および企業にとって意味のある推奨事項を作成しています。Google はこういったものを提供していません。比較すると、Google のアプローチは単純過ぎます。「フリー サイズ」 (1 種類ですべてをカバーする) というアプローチなのです。
マイクロソフトのエンタープライズ対応ソリューションの選択
Google について調べた後では、大規模、小規模にかかわらず非常に多くの企業がマイクロソフトを選択するのに不思議はありません。Google Apps は単にビジネスに対応していないのです。James C. Nolan 法律事務所の James Nolan 氏は次のように述べています。「Google のアプリケーションは、Office Outlook の機能と競合するには堅牢さが不足していました」
Admiral Beverage Corp. 社の IT 部門責任者である Jim Hill 氏も、同様の評価を下しています。「両方のソリューションをテストした結果、マイクロソフトの方が Google よりも信頼性の高い安全なクラウド ベースのメッセージングおよび共同作業ソリューションを提供していることが明らかになりました」
コンシューマー テクノロジを企業に強いることによって、Google はグレーの部分の細かな濃淡の差を見失っています。それとは対照的に、マイクロソフトは企業を理解しています。20 年にわたる企業へのサービス提供の経験を活かして、マイクロソフトはそのニーズを深く理解し、企業と協力しながら、企業が直面している最も急を要する課題を解決する独自のソリューションを開発しています。
この問題に引き続きご注目ください。今後数週間にわたって、Google のエンタープライズ戦略をさらに詳しく調べ、マイクロソフトの戦略と比較して、Google がどれほど企業のニーズを簡略化し過ぎているかを明らかにする予定です。