DPM 2007 の Hyper-V バックアップ時に適用すべき修正プログラムについて
こんにちは。Windows テクノロジー サポートの石井です。
先日、TechEd というイベントで技術相談窓口のスタッフとして横浜に行って参りました。普段、電話による技術サポートを提供している中で、直接お客様と会ってお話し出来る貴重な機会でした。
DPM 2007 についても、今後構築予定であるとか、現在運用中で困っている、といった具体的なお話しを伺うことが出来、大変参考になりました。今後も、DPM 2007 をご利用の皆様に少しでも助けとなるような情報をお知らせしていけたらな、と思います。よろしくお願いいたします。
NEWS: 8 月のロールアップ パッケージ公開のお知らせ
今回のトピックの前に、まずは DPM 2007 SP1 に適用する最新のロールアップパッケージの公開のお知らせです。
修正内容などが記載されておりますので、ご確認下さい。
技術情報番号 970868: A hotfix rollup package is available for System Center Data Protection Manager 2007: August 28, 2009
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;970868
尚、ロールアップパッケージの ダウンロード サイトは以下となります。
System Center Data Protection Manager 2007 Hotfix Package (KB970868) (x86 & x64)
よくお問い合わせいただくご質問ですので、以下の通りご説明しておきます。
- ロールアップ パッケージは複数出ているが、全部適用する必要があるのか?
ロールアップパッケージは、以前のロールアップの修正内容を含んでいます。そのため、たとえば、今回リリースされた 8 月のロールアップパッケージをインストールすると、それ以前のバージョンである 2 月、4 月、6 月のロールアップ パッケージの適用は不要です。
- パッケージに英語版しか無いのだが、日本語版はどうすれば手に入るのか?
DPM 2007 は、インストーラ、および修正プログラムが多言語対応のものとなっております。従って、上記のダウンロード サイトにある英語版をダウンロードし、日本語環境に適用いただくと自動的に日本語版がインストールされますので、ご安心下さい。
- DPM サーバーや保護対象の再起動は必要か?
以下の例外を除いて、必要ありません。
例外 1
4 月、ないしは 6 月のロールアップを未インストールの場合。例えば、SP1 適用後、ロールアップを一切適用せず、8 月のロールアップを適用した場合には、ロールアップ適用後に DPM サーバーの再起動が必要になります。
例外 2
8 月のロールアップ適用時に、DPM 2007 管理者コンソールを開いている場合、アップデート処理の一部が完了しないため、DPM サーバーの再起動が必要になります。従いまして、DPM 2007 管理者コンソールは一度閉じてロールアップを適用して下さい。
上記の例外においても、保護対象のサーバーの再起動は必要ありません。
保護対象のアップデートの手順としては、[DPM 2007 管理者コンソール] の [管理] タブから、エージェントのアップデートを選択して下さい。ファイアウォールの問題などで、リモートのアップデートに失敗する場合、保護対象にてアップデートインストーラを手動実行するか、グループ ポリシーにて配布していただく必要があります。(アップデート インストーラは DPM サーバーの “Program Files\Microsoft DPM\DPM\Agents\RA\2.0.8851.0\” 配下の、それぞれ “amd64\1041\DPMProtectionAgent2007_KB970868.msp” (64 ビット版) や “i386\1041\DPMProtectionAgent2007_KB970868.msp” (32 ビット版) にありますので、それぞれコピーして下さい。)
尚、DPM サーバーのアップデート後、保護対象のエージェントのアップデートを行わなくても保護は継続可能ですが、エージェントのアップデートを行うまでは今回の修正内容は適用されません。
さて、本題です。
今回は、Hyper-V の VM のバックアップ時に Hyper-V ホストと、ゲストとして稼働する Windows Server 2003 に適用しておきたい更新プログラム一覧をご紹介いたします!
前回の記事で、DPM 2007 を使った Hyper-V のバックアップの仕組みについてご紹介いたしました。その中の、オンラインバックアップという言葉を覚えていらっしゃいますか?
オンライン バックアップを行う場合は、VM のバックアップを行う時には Hyper-V ホスト マシン上だけでなく、VM の中でも VSS (ボリューム シャドウ コピー サービス) が動作し、バックアップの準備をするという多段階にわたる動作であることがご理解いただけたと思います。つまり、言い換えれば、オンラインバックアップを行っている場合は、Hyper-V ホストだけに問題が起きるのではなく、VM の固有の問題が影響してバックアップに失敗する、ということもあり得るのです。
今回はバックアップの安定化を図るための前提条件や、推奨されている更新プログラムについて Hyper-V ホストだけでなく、VM として動作する Windows Server 2003 側もご紹介いたします。
何故か Hyper-V のバックアップが安定しない、とか、どうやってトラブルに対処すればいいか分からない・・・という方々、個別の問題に目を向けるよりも、まずは更新プログラムを適用してみて、既に修正済みの問題ではないか?というところを大きく切り分けてみるのはいかがでしょうか。バックアップが安定している方も、ヘルスチェックの意味も込めてご確認いただければと思います。
ちなみに、Hyper-V に限らず、Windows Serve 2003 上のアプリケーションやフォルダのバックアップを行っていたり、Windows Server 2003 上で DPM を動かしていたりする場合、後述する Windows Server 2003 の更新プログラムは適用の価値がありますので、Hyper-V のバックアップを行っていない方々も是非ともチェックして下さい。
Hyper-V ホスト側
1. DPM 2007 SP1 による Hyper-V バックアップを行うにあたっての前提条件ソフトウェア
下記 Hyper-V の修正プログラムが未適用の場合、まずは下記修正プログラムの適用もお願いいたします。DPM 2007 SP1 から Hyper-V をバックアップする場合、最低限必要となる更新プログラムです。既に適用頂いている方も多いと思いますが、念のためチェックして下さい。
- Hyper-V のリリース バージョン
Description of the update for the release version of the Hyper-V technology for Windows Server 2008
https://support.microsoft.com/kb/950050
- Hyper-V バックアップを行うにあたっての前提条件
An update is available for Windows Server 2008-based computers to address issues with backing up and restoring Hyper-V virtual machines
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;959962
参考資料:
Prerequisites for protecting Hyper-V using DPM 2007 SP1
<https://technet.microsoft.com/en-us/library/dd347840.aspx>
2. 推奨している更新プログラム
上記前提条件に引き続き、下記の Hyper-V サービスや、Hyper-V の VSS ライタ関連のアップデートの適用を推奨いたします。
現時点での、Hyper-V や Hyper-V のバックアップについての全てのアップデートを含む Windows Server 2008 SP2 を適用いただくことをまずはお勧めいたします。
SP2 の適用が難しい場合は 967560、および 971394 を適用いただくことで、バックアップの機能については同等の機能を実現可能です。
Windows Server 2008 Service Pack 2 および Windows Vista Service Pack 2
https://technet.microsoft.com/ja-jp/windowsserver/dd262148.aspx
もしくは
KB967560 A backup operation fails on a two-node failover cluster that is running Windows Server 2008 after one of the disk resources is moved
https://support.microsoft.com/kb/967560/
KB971394 A backup of virtual machines fails when you use the Hyper-V VSS writer to back up virtual machines concurrently on a computer that is running Windows Server 2008
https://support.microsoft.com/kb/971394/
ゲスト OS (Windows Server 2003)
※ DPM 2007 サーバーが動作している Windows Server 2003 や、保護対象の物理マシンの Windows Server 2003 でも同様に有効な更新プログラムです。
1. COM のアップデート
Hyper-V のゲストの Windows Server 2003 のバックアップ準備を行う時に、COM と呼ばれる通信が使用されて VSS が起動します。このとき、ゲストマシン上の COM 関連の不具合により、バックアップの準備においてエラーが発生することがあります。
こういった現象を予防するため、ゲスト マシンの Windows Server 2003 に以下の COM のアップデートを適用してください。
KB934016 "Availability of Windows Server 2003 Post-Service Pack 2 COM+ 1.5 Hotfix Rollup Package 12"
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;934016
KB968447 "The COM+ Event System stops processing the query for matching subscriptions when it detects a corrupted subscription on a Windows Server 2003-based computer"
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;968447
2. VSS のアップデート
Windows Server 2003 上でバックアップの準備 (スナップショット) を行う主役、VSS の更新プログラムとして、以下を適用してください。DPM 2007 サーバーとして稼働する Windows Server 2003 や、保護対象の物理サーバーとして稼働する Windows Server 2003 でも同様にスナップショット作成を行いますので、有効な更新プログラムです。
KB940349 “Availability of a Volume Shadow Copy Service (VSS) update rollup package for Windows Server 2003 to resolve some VSS snapshot issues”
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;940349
KB969219 “RPC 0x800706ba and 0x800706bf errors occur when backup software tries to create VSS shadow copies on a computer that is running Windows Server 2003 SP2”
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;969219
上記に続いて、VSS のドライバである Volsnap.sys の最新のロールアップである KB 967551 の適用もお奨めいたします。
KB967551 “Rollup update for the volsnap.sys driver in Windows Server 2003”
https://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;EN-US;967551
参考情報:
Hyper-V の VM のバックアップのトラブルシュートについての詳細は、下記の弊社 Technet ブログの記事をご参照下さい。
DPM 2007 - Troubleshooting protection for Hyper-V
次回は、DPM 2007 のデータベースのバックアップと復元の手順をご紹介する予定です!お楽しみに!